パパ塾で受験

親子で挑んだ中学受験体験記と小中高生の勉強解説

受験生と睡眠時間 【何時間寝れば良い?】

(2023/6/15 リライトしました)

 我が家では、次男(小学6年生)が自宅学習(パパ塾)で中学受験を目指しており、私が教えたり調べたりしている中での出来事や感じたことをブログに書いています。

 

 MLB大谷翔平選手が高校時代から十分な睡眠を取るようにしていたことは有名で、MLBに行かれた現在でも1日10時間以上寝ることもあるのだとか。

 体づくりや体力の回復に睡眠が重要であることが伺えますが、主に頭脳労働である受験にはどの程度の睡眠が必要なのでしょうか?

 

 今回、「受験生(小学生や中高生)は何時間くらい寝れば良いのか」ということについてまとめました。

 個人差もある部分なので正解が決まっている訳ではありませんが、調べた内容と併せて我が家の方針を書いていこうと思います。

 

この記事で分かること受験生は何時間くらい寝るべきか?
十分な睡眠のメリットと寝不足のデメリットとは?
受験1か月前からの、睡眠に関する我が家の方針

 

受験と睡眠時間

 我が家では夜11時には寝ることを目標に勉強を切り上げさせて(実際はもう少し遅くなることもありましたが)、朝は7時に起こすようにしていました。

 そこから計算すると一日8時間程度の睡眠を取っていたことになります。

 

 小学5年生以降進学塾に通塾しておらず、自宅で授業しているため塾に通われる生徒さんに比べると長い時間寝られていると思います。

 ただ、次男はそれでも少し眠いと言うことが多く、どの程度の睡眠時間を取らせるべきなのか悩んでいました。

 

 一方、某有名進学塾の生徒は小学校6年生にもなると平均睡眠時間が6時間を切るそうな……(ネット上の情報なので真偽は分かりませんが)。

 そこまでしなければいけないのかと驚愕するとともに、そこまで頑張っている小学生に失礼とは思いつつも可哀想だと感じてしまいました。

 

 では小学校高学年(や中高生)はどの程度の時間寝るべきなのでしょうか。

 内閣府が調査した小中高生の実際の睡眠時間、何時間寝るべきかという報告と併せて十分な睡眠を取った場合のメリットと睡眠不足のデメリットを紹介しようと思います。

 

小中高生の睡眠時間

 平成23年(西暦2011年)に内閣府が行った調査によると、小学校高学年(10歳以上)、中学生、高校生の就寝時間、起床時間の平均ならびにそこから導かれる睡眠時間は以下の通りです。

  • 小学生:就寝 21時57分、起床 6時38分、睡眠時間 8時間41分
  • 中学生:就寝 22時55分、起床 6時41分、睡眠時間 7時間46分
  • 高校生:就寝 23時42分、起床 6時36分、睡眠時間 6時間54分

(参照:平成27年版子供・若者白書(内閣府)

 

 上記はあくまで平均であるため、受験生はもっと短くなっていることが考えられます。

 それにしても、高校生ってあんまり寝ていないんですね。

 

小中高生は何時間寝るべきか

 米国睡眠学会は6-12歳の子ども(日本で言う小学生)は9~12時間の睡眠時間、13~18歳(日本で言う中高生)は8~10時間の睡眠時間が適切と勧告しています。

(出典:Paruthi et al. Recommended Amount of Sleep for Pediatric Populations: A Consensus Statement of the American Academy of Sleep Medicine. J Clin Sleep Med. 2016;12:785-6.

 

 同様の報告や指針は世界中で多数認められており、世界中で常識と考えられていると言っても過言では無さそうです。

(参考:For children and young people (5 to 17 years) | Australian Government Department of Health and Aged CareHow Much Sleep Do I Need? | CDC

 

 上記の報告では小学高学年は9から12時間の睡眠が妥当と書かれていますが、9時間と12時間は大きく違いますよね(実際、なかなか受験生は12時間寝れないと思います)。

 適切な睡眠時間は「日中しっかり覚醒して過ごせるかどうか」が目安になります。

(参照:健康づくりのための睡眠指針:厚生労働省

 

 実際に必要な睡眠時間は、日中の活動量も影響し個人差も大きいため一概に言えませんが、「眠気を感じず日中過ごすことができる」ことを目標に、まずは小学生なら9時間、中高生なら8時間の睡眠を目指してみてはいかがでしょうか。

 そこから自身の「日中の眠気があるかどうか」をもとに調整するのが良いと思います。

 

十分な睡眠と寝不足の影響

 まず、十分な睡眠のメリットを見ていく前に、寝不足の悪影響について言及された報告も多数あるため見ていこうと思います。

 

寝不足の影響

 文部科学省が小学5年生、6年生を対象に行った睡眠に関する調査によると、午後11時から午前2時の間に寝る生徒の20-40%は午前中の体調不良を自覚し、早く寝ている生徒ほどこの割合は減少しています。

 また就寝時間が遅い生徒ほど、何もないのにイライラすると感じているそうです。

(出典:睡眠を中心とした生活習慣と子供の自立等との関係性に関する調査の結果:文部科学省

 

 大阪大学の村田先生らによると、睡眠中に神経細胞の修復や育成が行われることで記憶力が強化され、睡眠不足は多動衝動性や感情制御の困難さ、学習の問題、コミュニケーション能力の低下に繋がるとのことです。

 また、この報告によると、十分な睡眠時間を取れていない子供の保護者がそれに気づいていない(十分に寝ていると認識している)ことがあるとのことで、親の認識(子供が何時間程度寝ないといけないかの理解)も重要なのだと考えさせられます。

(出典:村田絵美ら. 日本の小学生の睡眠習慣と睡眠に影響を及ぼすライフスタイルについての大規模調査. 小児保健研究2014:798-810.

 

 また、前述の米国睡眠学会の報告でも、十分な睡眠が注意力、学習、記憶力だけでなく感情調節や精神、肉体的な健康に関連するとされています。

 

 一方、同報告によると、睡眠不足により注意力や学習面の問題に関連するだけでなく、事故や怪我、うつ病のリスクまで高めるようです。

 特に10代の睡眠不足は、自傷行為自殺念慮や自殺企図(自殺しようと考えたり、自殺を企てること)のリスクまで高くなるとのこと……。

 

 東北大学加齢医学研究所の瀧教授らの研究によると、5歳から18歳までの睡眠時間と脳の記憶に関係する海馬という領域の大きさ(体積)を比較した結果、睡眠時間が短いほど海馬の体積が小さかったそうです。

 これは睡眠時間が短くなることで海馬の神経新生が抑制され、海馬が関係するとされる記憶力や空間認知能力の低下にもつながることが示唆されます。

(出典:Taki Y, et al. Sleep duration during weekdays affects hippocampal gray matter volume in healthy children. NeuroImage. 2012:471–475.

 

 これらの報告をまとめると、睡眠不足の影響は次の通りです。

  • 注意力の低下
  • 学習能力の低下
  • (永続的な)記憶力の低下
  • 倦怠感などの体調不良に陥りやすい
  • 感情のコントロールが難しくなる
  • うつ病発症のリスク(自傷行為や自殺の危険性)

 ……睡眠不足って恐ろしいんですね。

 

十分な睡眠がもたらす影響

 睡眠不足の悪影響が分かったことで、逆説的に十分な睡眠を取るメリットも分かります。

 十分な睡眠がもたらす影響は次の通りです。

  • 注意力の向上
  • 学習能力の向上
  • (永続的な)記憶力の向上
  • 体調の安定、免疫力の上昇
  • 感情の安定

 

 勉強の効率を上げるだけでなく、肉体的・精神的な健康を保つためにも十分な睡眠が必要だと言えます。

 

 また睡眠時間を確保するために無駄のない勉強計画、メリハリのある時間設定が必要になり、集中して勉強することにつながる。さらに十分な睡眠時間を取ること自体が集中力を高める、という好循環も考えられます。

 

我が家の方針

(この記事は入試の約1か月前に公開しました。このため以下の内容は、入試直前期の睡眠に関しての方針です)

 我が家の次男の場合、8時間程度の睡眠では日中に眠気があるようです。

 このため、「眠気を感じず日中過ごすことができる」ことを目標に、まずは9時間睡眠を目指させようかと考えています。

 

 入試の日には6時に起きる必要があります。逆算すると9時に寝なければいけません。

 そのためには勉強の計画をしっかり立てて、9時前に勉強が終わるようにしていこうと思います。

 

まとめ

  • 小学校高学年の生徒は9から12時間、中高生でも8から10時間の睡眠が必要。
  • 十分な睡眠が取れているかは、「眠気を感じず日中過ごすことができる」ことで判断できる。
  • 睡眠不足は集中力・学習能力・記憶力の低下だけでなく、肉体的・精神的な悪影響をもたらす。
  • 十分な睡眠は集中力・学習能力・記憶力の向上、さらには体調や精神的な安定につながる。

 

 以上を踏まえて、睡眠時間をしっかり確保しながら受験に挑みたいものですね。

 この記事をご覧の受験生や保護者の方に良い結果が得られますよう願っています。