(2023/1/26 リライトしました)
この記事の公開日は12月29日、いよいよもう少しで2022年も終わります。
年が明けたら、関西ではすぐに中学受験に突入します。
中学受験に突入する前に、この受験間際で改めて受験のゴール、何をもって受験を成功した、失敗したと言えるのか改めて考えてみようと思います。
中学受験の成功と失敗
第一志望に合格が成功?
受験における成功とは何でしょう?
ほとんどの人は合格、それも第一志望に合格と答えると思います。
第一志望を選ぶ時点で一番行きたい学校と考えているはずですよね。
なので、第一志望に合格することが短期的な成功であることは間違いありません。
(塾に勧められて行きたくもない学校を第一志望にすることはおすすめしません。)
ただ、残念ながら長期的な目線で考えると例え第一志望に合格しても成功ではない場合があります。
どんな場合に中学合格が成功と言えないかと、それぞれの対策を考えます。
最終的な目標を見失う
まず最初に言っておきたいのは、中学進学は人生のゴールではありません。
次男の中学入試に関わっている自分自身の態度を冷静に振り返って思いました。
SNSやブログなどで、中学入試に挑んでおられる受験生や保護者を見ていても感じます。
本当の目標を忘れているのではないかと。
どれだけ素晴らしい中学校に進学しても、それだけで子どもが生きていけるわけではありません。
中学校に進学するのはあくまで通過点。
むしろ中学進学後にスタートすることも多いのです。
その後の(本来中学合格よりもっと大切な)目標を叶えられなければ、第一志望の中学進学も成功とはいえないのです。
私の高校時代も、高校受験の勉強をそれこそ命がけで頑張って入学してくる人がいました。
そういった人の中には入学後も頑張り続ける人も居ます。
ただ、高校入学のみで燃え尽きてしまって(ここでは燃え尽き症候群と呼びます)その後全く努力しなくなる人も居ました。
本来一番大事なはずの夢を掴めなかったのです。
当然、燃え尽きずに努力しても大学進学に失敗するなど夢を掴めない人も居ると思います。
ただ、能力があるはずなのに、燃え尽き症候群のために夢を掴めないというのは勿体ないと思います。
できるならそんな状況になりたくないですよね。
燃え尽き症候群になる人というのは、入学前から合格のことだけを考えている人が多いように感じます。
入学後に次の目標を設定しにくいんだと思います。
中学進学というのはあくまで将来の夢(人生の目標)に向かうためのプロセス(過程)の一つです。
ここで例え合格できなくても、プロセスを修正するだけで夢を叶えられる可能性はあるのです。
入試を受ける前から入学後のことを考えるのは気が早いと思われるかもしれません。
ただ、入学後何をしたいのか、将来の夢は何なのか入試前のこの時期にもう一度考えてみてはどうでしょうか。
具体的に将来の夢を考えることは、受験勉強のモチベーションにもなるかもしれないですしね。
希望した学生生活が送れない
中学受験だけでなく、高校受験でも大学受験でも(もしかすると入社試験でも)共通する第一志望に合格したのに成功ではない場合があります。
希望していたような生活が送れないこと、簡単にいえば幸せになれていないことです。
私は高校は超進学校に通っていましたが、そこでも「こんな学校とは思わなかった」と入学後に後悔する人は居ました。
大学も高い倍率を勝ち抜き合格しましたが、同級生には「やっぱりやりたいことじゃない」と言って退学する人も居ました。
「そんなの入学してみなければわからないじゃないか」と言われるかもしれません。
実際、中学や高校は同級生の存在が大きく、同級生は入学してみないと恵まれるかどうか分かりません。
ただ、入学しなくても分かる、中学進学が失敗となりやすい状況があります。
志望校を偏差値のみで選んだ場合です。
偏差値で決めても良い学校に入れる場合もあるとは思いますが、校風だったり学校生活だったり全てを納得して入学しなければ「こんなはずじゃなかった」という状況になりやすいようです。
特に併願校は偏差値だけで選びがちです。
もう一度、受験する学校は(第一志望でなくても)行きたいと思える学校なのか考えてみることをおすすめします。
併願校(または公立中学)に入学は失敗? 具体例から
第一志望に残念ながら合格できず、併願校に合格する……。
一説には中学入試で第一志望に進学する人は全体の3割なのだとか。
(第一志望に進学する割合が進学塾の生徒の3割……。進学塾は塾側が受験する学校をコントロールすることがあり、実際は第一志望を受けることもできない生徒も居ると考えられます。本当の第一志望進学率はもっと低いのかもしれません。)
では7割の人は失敗したと言えるのでしょうか?
短期的には(目先の結果だけを見ると)成功ではないかもしれません。
長い人生という意味では、私は必ずしも失敗とは思いません。
具体例を挙げようと思います。
まず一例目は恥ずかしながら私自身の経験から。
私は中学受験の際に第一志望だった灘中学を受験し、不合格となりました。
不合格となった当時は目の前が真っ暗になり、何も考えられないような状況でした。
私は灘以外に行く気が無かったので滑り止めを受けておらず、地元の公立中学に進学しました。
中学の3年間、不合格の悔しさをばねに必死で頑張ったおかげか高校は灘に合格することができ、その後自分自身の夢も叶えることができました。
(高校受験は灘以外も考えたのですが、志望大学への進学という意味でも灘に行きたいと考えていました。)
私自身の半生を振り返ってみると、中学にすんなり合格していた場合、その後の夢を叶えるというルートは同じでも、失敗する痛みが分からない弱い人間になっていたのではないかと考えることがあります。
簡単に言うと、他の人のことが考えられない嫌な奴になっていたんじゃないかなと思います。
……小学校の頃の私、今考えてもエリート主義と言うか……嫌な子どもでしたから(苦笑)。
私はその後の人生で大小さまざまな失敗を犯してきましたが、中学不合格の経験が失敗を乗り切る糧になりました。
私は苦労することになりましたが、人間(人格)形成という意味で中学受験に不合格だったことが成功だったと思っています。
二例目は私の友人M君(仮称)です。
彼は中学時代私と同じ塾に通っており、成績は非常に優秀でした。
ただ、残念ながら第一志望の灘高校に不合格となり滑り止めの某高校に進学しました。
高校3年生の初めだったと思いますが、偶々久しぶりにM君に会った際、M君は模試で私よりもはるかに高い成績を出していました。
そしてそのまま、灘でも上位の生徒しか入学できない京都大学医学部に進学したのです。
優秀な彼なら、仮に高校から灘に進学していても京都大学医学部に進学していたかもしれません。
高校の不合格なんて関係なく、夢を叶えるために頑張った彼が凄いのだと思います。
ただ、途中のプロセスは関係なく、最終的な目標を叶えられれば人生としては成功と言えると思うのです。
(当然大学進学後も人生は続くので、大学合格もゴールでは無いのですが。)
そういった意味で、彼は高校の不合格を失敗にしなかったのだと思います。
では成功と失敗とは?
ここまで読んで頂くと、「合格しても成功じゃないなら何が成功なの?」、「不合格でも失敗じゃないとか何が言いたいの?」などと思われるかもしれません。
私が考えること、言いたいことはシンプルです。
ただ、「人生の目標を達成できれば成功」です。
中学受験はあくまでプロセス、目先の合格・不合格を成功にするか失敗にするかは自分(子ども)次第なのです。
「そんなんやったら成功かどうかなんて中学受験しても分からんやん」とツッコミを入れられるかもしれません。
その通りで、成功か否かというのは中学受験の合否に多少関係するかもしれませんが、その後の考え方や行いでいくらでも変わるものだと思うのです。
中学入試前に、もう一度将来の夢を叶えるためにどうしたら良いのか再度考えてみてはいかがでしょうか?
そのうえで、もう一度出願している(出願を考えている)学校は行きたいと思える学校なのかよく考えて受験することをおすすめします。
最後に
今回の記事はあくまで私見です。
中学入試前は、何が成功とか失敗なんていう余計なことを考えず、全力で入試に挑むべきだという考えもあると思います。
そういった意見を否定するつもりはありません。私も合否に関わらず全力で挑むことこそが成長の糧になると考えています。
ただ、自分自身や子どもが気づけば合格こそ至上であるという意見になっていそうで、何が本当に重要なのか自分なりにもう一度考えてみました。
関西の中学入試はもう間もなく始まります。
できれば次男には第一志望に合格してほしいと考えていますが、全力でしっかり準備と対策をして不合格であれば仕方ないとも思っています。
中学受験の合否に関わらず、成功だったと思える方向に導いてあげることこそが親の役目なのかな、というのが私の考えです。
この記事の公開日から、関西の中学入試まで残り15日です。
この記事をご覧の受験生や保護者の方も、体調には気を付けて一緒に頑張っていきましょう。