パパ塾で受験

親子で挑んだ中学受験体験記と小中高生の勉強解説

中学受験のパパたちへ

 この記事の公開日は2月2日、首都圏で中学受験が始まっています。

 中学受験に臨まれている方には、本当に良い結果が得られることを願っています。

 

 中学受験って子どもも親も本当に大変ですよね……。

 

 試験当日の緊張感は忘れられません。

 試験会場では、子どもも親も本当にピリピリしていた気がします。

 

 試験会場では母親だけ来られている方も多かったですが、夫婦で来られている方や、私を含め父親だけ来られている方も少なくありませんでした。

 最近は受験会場に父親が来ることが増えていると思います。

(受験の関係者ではないため、自分自身の30年ほど昔の経験との比較ですが)

 

 子育てに参加しよう、子どもの受験を応援しようと考える父親が昔より増えているんだと思います。

 ただ、残念ながら空回り……どころか悪影響になっている父親も居るようです。

 

 中学受験を間近で経験した父親である私が、特に父親が受験に関わる時に起こりやすい問題やその原因、受験における理想の父親について考えてみようと思います。

 

中学受験と父親

 先日の記事にも書きましたが、「勇者たちの中学受験」を読みました。

 

 ネタバレを避ける意味でも詳しくは書きませんが、中学受験における父親の存在意義について考えさせられる内容でした。

(全部通じてなのですが、特に2話目。)

 

 私自身、過去記事で書いたことがあるのですが、子どもに対する態度で後悔していることがあります。

 今思えば過剰とも言えるくらい怒りすぎていたことがあるのです。

kishi-john.hatenablog.com

 

 今回は中学受験において何故父親は怒りすぎるのか、その原因と対策、さらに中学受験における理想の父親について考えます。

 

怒りすぎる父親

 パパ塾で勉強を教えている際に、気付けばわが子をかなりキツく叱っていることがありました。

 同じような間違いを繰り返し、危機感が感じられない。

 

 家で教えているので、当然近くには妻も居ます。

 妻にも言い過ぎだと言われ、危機感の無い妻にも腹が立ち……。

 

 私もイライラ、子どももイライラ、妻もイライラ。

 空気は最悪でした。

 子どもが嫌いなんてことはありません。

 なのに、可愛いはずの我が子に腹が立って仕方ありませんでした。

 

 後から考えると、本当に異常な精神状態だったのだろうと思います。

 

 ただ、前述の「勇者たちの中学受験」でも同じように怒りすぎている父親が描かれていました。

 これを読んでいた時に、「自分と同じようなことをしてしまっている人が居るんだ」と感じました。

 なかなかキツイ書かれ方をしているんですけどね……。

 

 父親が怒りすぎる……。

 これは特に中学受験では起こりやすいことなのかなと思います。

 

 父親に限らないのかもしれません。

 ただ、自分自身や他の方の経験談をみていても、父親が特に問題になりやすいのかなと思います。

 何故そんなに怒ってしまうのか、私の場合を中心に考えてみようと思います。

 

何故怒るのか?

 我が家では塾に通わず、主に私が勉強を教えて中学受験に挑みました。

 

 受験が近くなってくると、焦りました。

 

 私が考えていたことは、

「今の時点でこんな問題を間違えるなんて」

「同じ間違いを繰り返すのは危機感が無いからだ」

「本気で受験しようと思っているのだろうか」

 ……等々でした。

 

 言い訳をするようですが、子どもが心配で仕方なかったのです。

 ただ、考え方のアプローチは間違えていた気がします。

 

 子どもは同僚や部下ではありません。

 社会人であれば、期日までに計画的に対処すること、同じミスを繰り返さないように対策すること……。

 そういった対処をしなければ、本気で働いているのか疑われても仕方ないかもしれません。

 

 ただ、それは大人の理屈なのです。

 

 相手は子どもです。

 子どもだからできなくても仕方ない、ではありません。

 

 そういった対処を学んでいる最中、経験値を蓄えている最中なのです。

 なので社会人に対して抱く感想と分けて考えなければいけません。

 

 こうしていくべきだ、という理想を説明するのは良いと思います。

 ただ、大人だったら当然と思うことを子どもに強要してはいけません。

 受験という雰囲気に呑まれていたのかもしれません。

 そんな当たり前のことが分からなくなっていたのです。

 

 前述の「勇者たちの中学受験」に出てくる父親は、中学受験のコンプレックスを抱き、そのせいで子どもにきつく当たっていたと描かれていました。

 

 実際そうなのかもしれません。

 ただ、同じような境遇であった立場からすると、「子どもが心配」「自分自身の失敗の経験を繰り返さないように」という気持ちもあったのだろうと思います。

(それ以上の問題も抱えていそうでしたが……。)

 

 要するに「子どもの受験」という領域を「大人の常識」を持ったまま見ていたので、怒りになったのだろうと思うのです。

 

 勇者たちの中学受験に出てくる父親は受験後の発言を含め、問題点が多いと思います。

 ただ、中学受験に関係する親が誰でも陥る可能性がある罠みたいなものじゃないかなと感じています。

 

(追記)入試結果に怒る父親

 勇者たちの中学受験で、子どもが不合格と分かってから怒っている父親が描かれていました。

 

 多少は脚色なのかと考えていたのですが、受験後のブログやSNSを見ていると残念ながらそういった父親は居るようです。

 

 原因としては父親が

  1. 受験にのめり込みすぎ
  2. 受験に無関心(無理解)
  3. 親の学歴コンプレックス(精神的な問題?)

 などが考えられると思います。

受験にのめり込みすぎな父親

 このパターンは、中学受験を場合によっては子ども以上に頑張りすぎて、受験の結果に納得がいかないというパターン。

 

 これは単純に悔しいのかもしれません。

 私も子どもの中学受験にかなり深く関わったので気持ちは分かります。

 

 ただ、子どもに起こるのはお角違い。

 一番頑張った、そして一番心に傷を負うのは子どもです。

 まずは頑張った子どもを労わりましょう

 

 そして子どもがまた頑張りたいと思えるなら、背中を押してあげてはいかがでしょうか?

 

受験に無関心(無理解)な父親

 このパターンは、中学受験に反対していたり、中学受験の厳しさを分かっていないパターン。

 

 確かに中学受験は必須ではありません。

 ただ、子どもが頑張ると決めてここまで来た以上、子どもの足を引っ張ってはいけません。

 そこまで努力した子どもは認めてあげるべきです。

 

 また、中学受験の偏差値は高校・大学受験よりも大幅に低く出ます。

 それだけ中学受験のレベルは高いのです。

 中堅校などと言っても、世間的には超名門校というのもよくあります。

 

 子どもが高いレベルで努力したことをまずは認めて、今後の成長の糧にしてあげることが親のするべきことではないでしょうか。

 

学歴コンプレックスを持つ父親

 学歴コンプレックスというのは、学歴が無いためにコンプレックスを持つパターンと、学歴があり学歴にとらわれ過ぎているパターンがあります。

 また、このパターンは親の精神的な問題が内在している可能性もあります。

 

 精神科医の先生が書かれた記事に学歴に囚われて子どもを支配し、毒親と化すパターンがあると書かれていました。

president.jp

 

 子どもの幸せを願っているはずなのに、いつの間にか学歴や偏差値で子どもを評価していませんか?

 本当に偏差値が高い学校だけが良いのでしょうか?

 

 子どもの幸せは親の幸せと異なります。

 まずは子どもを一人の人間と認めて(当たり前の話ですが)、子どもにとって本当に幸せになるとはどういうことか考えてみてはいかがでしょう

 

入試結果に怒る父親に言いたいこと

 どのパターンにも共通して言えるのは、子どもの努力を正しく見ていないのでは? ということです。

 

 子どもは家ではそれほど勉強している姿を見せていないかもしれません。

 特に父親の前では。

 なぜなら塾で凄い量の勉強をこなしてきてるから。

 

 レベルに関わらず中学受験している子どもというのは、非常に努力していることが多いです。

 

 親自身も中学受験をしている場合それが普通と思うかもしれませんが、中学受験は小学生に過剰な努力をさせ過ぎていると感じます。

 私自身は、その後の高校受験や大学受験よりも、不合格だった中学受験の方が努力したと感じるくらい。

 

 中学受験をしたことが無い親であれば、まずは一日でどの程度の量の勉強をしているのか実際に見てみてはいかがでしょう。

 小学生の子どもがしている勉強量に驚くことが多いと思います。

 まず、中学受験をしている、努力している子どもを認めてあげなければいけません

 

 その結果が残念なものであっても、中学受験だけで人生は決まりません。

 中学受験で積み重ねた努力は必ずその先の人生に活かせます、そこで腐らせなければ。

 

 努力を腐らせてしまう(中学以降で努力を積み重ねない)かどうかは、親、特に父親の影響も少なくありません。

 父親が中学受験(の結果)を契機に、子どもの進路に関わるチャンスとも言えます。

 

 また、父親にとって不本意な中学受験だったとしても、本人がどう捉えているかは分かりません。

 意外と納得していることもあります。

 子どもが中学受験を終えてどう考えているのか、今後どうしたいのかまずは聞いてみてはいかがでしょう。

(親の顔色を見て、親が期待しそうなことを言う子も居ることに注意してください)

 

 ただ怒るだけでは何も好転しません。

 子どものために何をしてあげるべきか、この機会にもう一度考えてみては?

 

怒りの悪影響

 私が特によく怒っていた時、次男は一番成績が伸びませんでした。

 もう少しあの状態が続けば、受験自体辞めていたかもしれません。

 親が怒って勉強をさせても成績は伸びません

 いやいやさせられている勉強で、身につくはずがありません。

 勉強自体はするかもしれませんが、勉強が嫌いになるおそれがあります。

 勉強が嫌いになってしまうと、成績は極端に落ちます。

 

 我が家の場合、私がこうやってブログを書くことで俯瞰的に状況を見れたこと、妻の指摘などがあり気づくことができました。

 怒らないようになり、できるだけ勉強を楽しませるようにと考えました。

(それでも注意することはありましたが、感情的に怒らないようになりました。)

 

 私自身は勉強の進度で焦ることがありましたが、子どもには焦りすぎないよう大丈夫だと話しました。

 

 そうすることで、徐々に勉強する雰囲気も良くなり、解ける問題も増えました。

 すぐに模試の成績にはつながりませんでしたが、手ごたえは感じられました。

 

 受験間近でスランプに陥りましたが、そこでも同じように接したのが良かったのかなと思います。

 なんとか乗り切ることができました。

 我が家は、幸運にも受験で良い結果が得られました。

 ただ、そうではない家庭もあるだろうと思います。

 

「勇者たちの中学受験」を読んでいて、志望校不合格後の父親の発言にキツイものがありました。

 

 父親として、志望校不合格という結果は受け入れがたいものがあったのだろうと思います。

(多少? かなり? 脚色されていそうなので、本当にあんな言動をしたのか分かりませんが……。)

 

 中学受験はあくまで通過点です。

 ゴールではありません。

 極端な話、失敗しても良いのです。

 一番大事なことは、子どもが将来どうなるか

 中学受験に失敗しても、その経験を活かして成長して夢を叶えられたら良いのです。

 

 不合格後の親の態度というのは非常に重要だと思います。

 親もショックを受けるでしょう。

 ただ、そこで前を向けるかどうかで不合格を成長の糧にできるかが決まると思います。

 

 恥ずかしながら、私も中学受験に失敗した経験があります。

 その時の親の発言で前を向いて行けたのだと思うのです。

(詳しくは過去記事をご覧ください)

kishi-john.hatenablog.com

 

 逆に、親の発言でやる気を無くすこともあり得ます。

 受験の結果に親が怒ることは、悪い影響しかありません。

 親は受験の結果に寄り添わないといけないと感じます。

 

父親本人や周囲はどうしたら良いのか?

中学受験に挑む父親たちへ

 この記事を読んでいるということは、貴方は中学受験に挑んでいる子どものためを思う良い父親なんだろうと思います。

 だからこそ苦しんでいるのかもしれません。

 

 今回私が考えたような理由とは違うことで怒っているのかもしれません。

 

 ただ、どんな理由があっても怒って受験(勉強)が上手くいくことはありません

 子どものためを思うなら、今すぐまずは怒るのを止めるべきです。

 中学受験というのは、結果も大事ですがそれ以上に子どもが成長できるシチュエーションです。

 目先の細かいことに囚われず、大きな目で子どもの成長を見守ってはいかがですか?

 

 結果として、その方が受験という目先の結果も良い方向に行くことが多いと思いますよ。

 

怒れる父親の周囲の人へ

 今となっては本当に反省しているのですが、私も当時は子どもだけでなく危機感を持たない(ように見える)妻にもイライラしていました。

 

 周囲の人はそんな父親に迷惑しますよね。

 心配したり、良かれと思ってやっている分、タチも悪いです。

 周囲が指摘しても、善意からの行動なので聞き入れないこともあるでしょう。

 

 勉強の仕方や態度に関してということであれば、(塾に通っているのであれば)塾の先生に相談してみるのが良いかもしれません。

 その結果、「塾の先生の指導通りこうやっているんだ」と父親の怒りの矛先を塾に向けさせる事ができるかもしれません。

 ただ、そんな事ではどうしようもない場合は……。

 冷静に自分自身を見つめられそうな父親であれば、この記事を読んでもらうのも一つの手です。

 

 結構父親って子育てに関して蚊帳の外になっている人が多い気がします。

 本当はもっと子どもにも関わりたくて、自分の分かる範囲(受験)になったから口を出すみたいな感じの人もいるようです。

 他の人の経験談を聞いたりブログを見たりすることで、突然受験に関わってくるなんてこともあるかもしれません。

 

 私は、他の人の経験談やブログは話半分に聞くのが良いと思います。

 私自身なるべく悪いことも書いているつもりですが、基本的に体験談やブログは良いことばかり書いていることが多いので。

 ましてどれだけタメになる体験談やブログでも、同じ様にすれば同じ結果が出る保証なんて全くありません。

 

 ただ、今回の記事だけはそんな父親に読んでほしいと思いながら書いています。

 何かのキッカケで冷静になれたら、父親が自分自身に気付くことができたら全てが良い方向に変わるかもしれません。

 

 父親も心配が行き過ぎているだけで、本来は味方なのですから。

理想の父親とは

 中学受験における理想の父親というのは、決まった形がある訳ではありません。

 

 我が家のように勉強を教えるのが良い場合もありますが、悪いこともあり得ます。

 

 誰にでも言えるとすれば、子どものことをよく見て、子どものためになることは何か考えて欲しいと思います。

 

 中学受験というのは、子どもが自分自身のためにするものです。

 親のためでも塾のためでもありません。

 

 子どもが自分自身のために苦労するのは仕方ありません。

 ただ、子どもが誰か他の人の顔色を見ながら苦しんでいませんか?

 SOSのサインは出ていませんか?

 

 そういったことは母親が気づくことが多いですが、場合によっては父親だからこそ気づけることもあるかもしれません。

(特に母親が受験に前のめりになりすぎている時など。)

 気づいてあげるためにも、よく子どもを見てあげて下さい。

 

 そして子どもの将来のため、何をしてあげるのが良いのかよく考えて欲しいと思います。

 

 偏差値が高い学校だから良いというわけではありません。

 子どもにどの学校が合うのか、どの学校なら子どもの可能性を伸ばせるのか、どの学校なら子どもが楽しめるのか……。

 学校を選ぶ基準はたくさんあります。

 

 親のための学校選びにならないよう、父親だからこそ見えることもあると思うのです。

 

 中学受験における理想の父親とは、子どものことをよく見て、子どものことをよく考える人だと思います。

 こう書くと、あまりにも当たり前のことなんですよね。

 ただ、受験という極限状態ではそんな当たり前ができなくなることがあります。

 

 受験とか関係なく、普段からそんな父親が理想ですよね。

 私もそんな父親でありたいなと思います。