灘中の算数入試問題を不定期に解説しています。
今回は2022年1日目の4番、規則性(ならびに数の性質)に関する問題です。
標準的~やや易しい難易度の問題ですが、規則性を正しく短時間で気づくかどうかがカギになります。
灘中入試算数1日目は60分で12、3問を解く必要があり時間との勝負です。
灘中受験生は、この問題のように標準的な問題はミスなく短時間で解きたいところです。
灘中受験を考えていない受験生でも、標準的~やや易しい難易度の問題なので解いてみてはいかがでしょうか。
2022年 1日目大問4 難易度★★☆☆☆
2の累乗(2を何回かかけたもの)を17で割るという計算を考えます。
2の10乗を考えることで、2の2022乗をどう考えるかのヒントを得たいところです。
①2の10乗を17で割った余り
2の●乗と、それを17で割った余りを考えていきます。
- 2の●乗: (数値) (余り)
- 2の1乗: 2 2
- 2の2乗: 4 4
- 2の3乗: 8 8
- 2の4乗: 16 16
- 2の5乗: 32 15
- 2の6乗: 64 13
- 2の7乗: 128 9
- 2の8乗: 256 1
- 2の9乗: 512 2
10乗まで書き出しても良いのですが、この辺りで法則に気づくのが理想です。
(①を解くだけなら書き出す方が早いですが……)
ただ、これだけでは法則が分かりづらい、もしくは法則は分かっても何故こうなるのかが分かりづらいという方のためヒントを書いてみます。
(ここから下のヒントは規則を見つけて単に解く場合蛇足(考えなくても良い)です。必要無いと思われる方は別解の解き方から②に行かれることをおすすめします)
- 2の●乗: (数値) (不足)
- 2の1乗: 2 15
- 2の2乗: 4 13
- 2の3乗: 8 9
- 2の4乗: 16 1
- 2の5乗: 32 2
- 2の6乗: 64 4
- 2の7乗: 128 8
- 2の8乗: 256 16
- 2の9乗: 512 15
上の一覧で余りを書いていたところが不足する数に代わっています。
不足する数というのは、あとどれだけ大きければ割り切れるかという数だと仮定します。
これで法則に気づくでしょうか?
その法則とは、2の4乗以降は余りではなく不足する数(どれだけ足りないか)が2倍ずつになるというものです。
(17以上になったものは17で割った余りを書いています(詳しくは後述))
2の4乗である16は17で割ると16余る、つまりあと1大きければ割り切れると言えます。
これを1不足すると言うことにします。
2の5乗である32は17で割ると15余るため、2不足しています。
これは2の4乗(1不足)のときの2倍であるためと考えることができます。
同様に2の6乗である64は17で割ると13余り、4不足しています。
これは2の4乗の4倍であるためと考えることもできます。
この問題(①)では、2の10乗に関して聞いています。
これは2の4乗の2の6乗倍、つまり64倍なので、64不足すると考えられます。
64÷17=3あまり13
つまり、64不足するというのは(17×3+13)不足していると言えます。
17×……の部分は17で割り切れるため、64不足というのは13不足と同じであると考えられます。
13不足するというのは4余ると同じなので、①の答えは4となります。
(別解)
上の数字と余りもしくは不足する数の一覧を見ると、2の8乗毎に余り、または不足する数が同じになることが分かります。
つまり規則性が見えてきます。
2の10乗は2の2乗の場合と同じになると考えられるので、13不足、つまり4余ると考えられます。
②2の2022乗を17で割った余り
上の別解の考え方を使うのが最も簡単です。
周期性を考えると、(8個1周期)
2022÷8=252余り6
つまり、2の6乗の場合と同じになると考えられます。
よって答えは13となります。
数の性質 問題集の紹介
今回の問題のメインは規則性です。
ただし、一見規則性の問題と分かりづらい問題となっています。
ただ、今回の問題は問題の誘導に素直に従って2の10乗まで考えれば、実はそれほど難しくありません。
色々なパターンの問題を解くことが難問を解くコツなので、今後灘などの難関校受験を考える方はたくさんのパターンの問題を解いてみてください。
規則性や数の性質を解くうえで、おすすめの問題集を挙げてみます。
参考にしていただければ幸いです。
4~5年生向け
4年生くらいで規則性や数の性質を学び始める頃、または苦手を復習目的の5年生くらいを想定しています。
目指す学校の難易度により学年は前後すると思います。
合格する算数の授業 数の性質編 [実務教育出版]
中学受験専門塾の授業内容を再現しているという内容は、先生と生徒の会話形式で分かりやすくなっています。
内容自体、基本的な事柄からかなり発展的な内容まで含むので、規則性や数の性質を初めて勉強する子だけでなく、幅広い層におすすめの一冊です。
解説が詳しいので、家で教えようという親にも優しい作りになっています。
5~6年生向け
算数プラスワン問題集 [東京出版]
難関校を目指す子どもが、5年生後半頃、一通りの勉強が終わりさらに発展的な内容に取り掛かる前におすすめなのがこの算数プラスワン問題集です。
また、中堅校志望の6年生が一通りの復習をする目的で使用するのもおすすめ。
様々な領域の問題が収載されており、規則性や数の性質の復習にも良いです。
入試に必要な「何を使って解くのかの見極め」をする力を養成することを目標としており、自宅学習メインの子は当然として塾に通われている子にもおすすめです。
難関校受験6年生向け
算数 合格へのチャレンジ演習 [東京出版]
難関校受験生におすすめしたいものの一つに、月刊誌「中学への算数」があります。
それ自体の定期購読もおすすめなのですが、この合格へのチャレンジ演習は「中学への算数」の中でも難しい「発展演習」で取り上げられた問題が厳選されています。
規則性や数の性質に関する問題も取り上げられており、難関校受験生にはチャレンジしてほしい問題集です。