灘中の算数入試問題を不定期に解説しています。
今回は2021年1日目の2番、割合に関する問題です。
やや易しい難易度の問題ですが、計算ミスしないこと、問題の条件をすべて使えるかがポイントだと思います。
灘中入試算数1日目は60分で12、3問を解く必要があり時間との勝負です。
灘中受験生は、この問題のように易しい問題はミスなく短時間で解きたいところです。
灘中受験を考えていない受験生でも、比較的易しい難易度の問題なので解いてみてはいかがでしょうか。
2021年 1日目大問2 難易度★★☆☆☆
この文章題を読むと、4つの要素から問題が成り立っていることが分かります。
それは……、
- A、B、Cの3つの容器あわせて600mlの水が入っている
- 容器Bの水の体積は容器Aの水の体積の1.5倍
- 容器Aから容器Bに40mlの水を移す
- (水を移した後)容器Bの水の体積は容器Cの水の体積の1.4倍
という4つです。
こういった問題では、文中の条件をすべて使うということがポイントです。
まず、2の条件から
A:B=2:3
なので、Aを②、Bを③と表記します。
3の条件で、水を移した後の水の量は
Aが②-40ml、Bが③+40mlとなります。
さらに4の条件から、水を移した後のBとCの関係は
B:C=7:5
なので、Cの水の量は
(③+40)×5/7 となります。
(7分の5を5/7と表記しています)
よって、Cの水の量は(⑮/7+200/7)となり、A、B、C合計の水の量は
②+③+(⑮/7+200/7)=㊿/7+200/7
となり、1の条件からこれが600mlとなるため、
㊿/7+200/7=600
つまり、
㊿/7=4000/7
①=80
と分かります。
水を移した後のBは③+40mlなので、答えは
80×3+40=280ml
と分かります。
(別解)
途中までは同様に、Aを②、Bを③と表記します。
さらに水を移した後のBとCの水の量を❼、❺と表記することにします。
すると、水を移す前のB(③)に40mlの水を移すと、❼になるので、
③+40=❼ ――Ⓐ
という式が成り立ちます。
また、全体の水の量は②+③+❺、つまり⑤+❺と表記することができ、これが600mlなので、
⑤+❺=600 ――Ⓑ
という式も成り立ちます。
Ⓑの式を3/5倍することで、
③+❸=360
つまり
③=360-❸
と分かります。
これをⒶの式に当てはめる(代入する)と、
360-❸+40=❼
つまり、
400=➓
と分かるので、
❶=40
となります。
求めるのは水を移した後のB、つまり❼なので
40×7=280ml
と分かります。
解説
割合の問題としては易しい問題と言えると思います。
実際の入試では、2-3分でミスなく解けるかどうかがカギです。
上記の解き方はどちらを採用してもそれほど時間に差はありません。
別解は、連立方程式を理解している子供には容易でしょうが、そうでなければ分数を使うことになっても最初の解き方の方が考えやすい気がします。
文章題の解き方に悩むという方は、この問題のように条件をすべて使うということを意識するようにしましょう。
問題に行き詰った時など、使っていない条件を考えるだけでうまく行くこともありますよ。
割合の問題 問題集の紹介
割合(比)の問題は中学受験で非常に重要なテーマの一つです。
この問題は比較的素直な問題ですが、この問題のように二つ以上の異なる割合(比)が関係する問題というのは頻出問題です。
この問題に詰まってしまった人は、まずは標準的な問題をしっかり解けるように対策しましょう。
この問題はできたという人でも、さらに色々なパターンの問題を解くことが難問を解くコツです。
今後灘などの難関校受験を考える方はたくさんのパターンの問題を解いてみてください。
算数のおすすめの問題集を挙げてみます。
参考にしていただければ幸いです。
基本~標準
4年生くらいで数の性質を学び始める頃、または苦手を復習目的の5年生くらいを想定しています。
目指す学校の難易度により学年は前後すると思います。
きょうこ先生のはじめまして受験算数 数・割合と比・速さ編 [朝日学生新聞社]
朝日小学生新聞で連載され、好評だったシリーズの書籍化です。
別冊の「図形・場合の数編」とともに勉強を始める初期の人や、苦手範囲を理解したいという人に分かりやすく解説しているため非常におすすめです。
この本を使用することで入試基礎レベルまでは理解することができると思います。
また、著者のYouTube動画も秀逸なため、併せて視聴するとより理解が深まると思います。
中学受験ミラクル算数 特殊算 [友人社]
数の性質や和と差に関する問題など○○算、いわゆる特殊算ばかりを集めた問題集。
割合に関する範囲では、相当算や倍数算、売買損益算に加えて、比較的割合が苦手な子が避けがちな食塩水の問題などが収載されています。
基本的な問題から受験の標準的なレベルまで、これ一冊でかなりの範囲をカバーできるのでおすすめの問題集です。
難関校対策
割合の問題に特化した問題集、というより他の記事でも繰り返し紹介している難関校受験生におすすめの問題集を再掲します。
算数プラスワン問題集 [東京出版]
難関校を目指す子どもが、5年生後半頃、一通りの勉強が終わりさらに発展的な内容に取り掛かる前におすすめなのがこの算数プラスワン問題集です。
また、中堅校志望の6年生が一通りの復習をする目的で使用するのもおすすめ。
様々な領域の問題が収載されています。
入試に必要な「何を使って解くのかの見極め」をする力を養成することを目標としており、自宅学習メインの子は当然として塾に通われている子にもおすすめです。
算数 合格へのチャレンジ演習 [東京出版]
難関校受験生におすすめしたいものの一つに、月刊誌「中学への算数」があります。
それ自体の定期購読もおすすめなのですが、この合格へのチャレンジ演習は「中学への算数」の中でも難しい「発展演習」で取り上げられた問題が厳選されています。
難関校受験生にはチャレンジしてほしい問題集です。