パパ塾で受験

親子で挑んだ中学受験体験記と小中高生の勉強解説

難関校に進学するということ

 当ブログは、次男の中学入試にパパ塾で挑んだ経験を基にした記事を主に書いていますが、過去に灘中に不合格となった後、高校から灘校に進学した私自身の経験も書いてきました。

(詳しくは以下の記事をご覧ください)

kishi-john.hatenablog.com

 

 今回は、今後灘中・灘高に入学したいと希望する人や、灘以外でも難関校に入学したいと考えている人のために、私自身が灘に入学した後に感じたことを紹介します。

 最後に難関校に進学するメリットとデメリットもまとめているため、参考にしていただければ幸いです。

 

難関校に進学しようと思う方へ

 難関校と書いていますが、私自身の経験から灘校について書いていきます。

 当時と今では灘でも変わっている点が多く、ましてや他の難関校では全く参考にならない部分もあるかと思うので参考程度に考えて頂ければと思います。

 

灘中学校・高等学校について

 私は兵庫県神戸市にある灘高等学校という高校に進学しました。

 

 偏差値的な意味で難関校と呼ばれる学校はいくつかありますが、灘は一地方にあるにも関わらず全国でも有数な難関校として知られています。

 

 一学年は210から220人。

 内訳は、中学から180人強、高校から40人弱。

 男子校なので、当然全員男子です。

(私の時代は中学からの合格者数がもう少し少なく、高校からがもう少し多かったです)

 

 クラスの4割程度が東大、4割程度が医学部に進学し、最近ではトップ層は海外の大学に進学することもあるようです。

(詳しくは過去記事をご覧下さい)

kishi-john.hatenablog.com

 

 私は、そんな灘に高校から進学しました。

 高校からの入学者は新高(しんこう)と呼ばれ、私の在学当時は高校1年の間は別クラスでした。

(今は1年から合同クラスで、授業の時に別れるようなシステムだそうです)

 

 新高で一番苦労するのは数学です。

 灘中では中学卒業までに高校2年までの数学の範囲(数学IA、IIB)を終わらせており、中学からの進学者は高校1年の間に数学IIICをやるだけなのに対して、新高は高校1年の間に数学IA、IIB、IIICを終わらせる必要がありました。

(今はカリキュラムが多少違うかもしれません)

 

 他の教科も数学ほどではないにしても非常に進度が早く、授業には真剣に取り組む必要があります。

 

 一方、中学からの進学組は、高校1~2年生までは比較的ゆったり自分の好きなことをしながら勉強はほどほどにやっているという印象でした。

 

灘高生の通塾について

 灘中に入学した人の中には鉄緑会などの有名進学塾に早くから通う人も居ますが、高校1~2年までは学校の勉強をやるだけという人も多いです。

 私の同級生の場合、高校1年くらいから塾に通ってはいたものの、高校3年生ころまではそれほど真剣に通っていないという人が多かったように思います。

(高校2年生くらいまでは、クラブ活動など好きなことに真剣に取り組んでいる人が多い気がします)

 

 ちなみに、高校3年生になっても塾に通っていない人もちらほら居ました。

 

 新高(高校からの入学者)は、1年から塾に通う人が3割くらい、残りのほとんどは2年生か3年生から塾に通っていました。

 塾によっては特待生制度で安く(場合によっては無料で)通えたため、私も自習室目的で入塾していた塾もありました。

(特待生を取るために試験が必要な塾もありましたが、当時は灘高生というだけで特待生をくれる塾もありました)

 

 ただし、(特に新高は)学校の勉強が早いので、学校の勉強をしっかりやったうえで塾に通うかどうか判断するので良いのかなと思います。

 学校も塾も通ったことで、両方中途半端になるなんておそれもあるので……。

 

 なので、私の印象として灘校生の通塾率は、

 中学まで:2-3割

 高校1年:4-5割

 高校2年:6-7割

 高校3年:8-9割

 といったところだと思います。

(20年以上前で、しかも私の印象なので参考程度と考えてください)

 

 灘の先生は、東大に行くのに塾に通う必要は無いと言っていました。

 実際、上の比率も私のように自習室目的の人や、塾のテキストだけもらう人、真剣に通っていない人なども含むため実質の比率はもう少し下がると思います。

 

 ちなみに私の時代は、灘では高校2年生の後半くらいから大学入試(主に東大)対策の授業が行われていました。

 今でも東大対策がメインなのでしょうか……。

(今はカリキュラムが変わっている可能性があります)

 

 特に塾に行かなくても東大に現役合格する人も居たので(成績は真ん中くらい)、授業について行ければ東大合格は可能なのだと思います。

(私の在学当時は、220人弱の学年で150位までに入れば現役で東大理I合格圏内と言われていました。実際はもう少し下でも東大理Iや国公立医学部に合格していたように思います)

 

同級生の雰囲気

勉強面

 私の場合、高校1年から運動系のクラブに入部し部活動が忙しかったことと新高で勉強量も多かったため、比較的1年生の間は大変でした。

(それでも中学受験・高校受験程は勉強していません)

 新高は1年生の間、比較的まじめに勉強に取り組む人が多かったように思います。

 

 ただ、2年になり中学からの進学者と合同のクラスになると、中学からの進学組は皆驚くほど勉強していませんでした。

 正確には勉強の時間はそれほどでもないのに、結果は出してくるといったところでしょうか。

 

 好きなことをやって、適度に遊んで、それでも成績は良い。

 灘について多くの人が想像するような、がり勉タイプの人はほとんど居ませんでした。

 

 軽々しく天才などと言うのは好きでは無いのですが、本当の桁違いの天才も何人か居ました。

(高校2年で東大模試を受けて好成績を取るなんて人も居ますが、スポーツで県選抜レベルになったりピアノでプロを目指したりしながら東大に入るという人も居ます。灘では数学オリンピック出場なんて珍しくもありません)

 

 そんな桁違いの天才は別として、ほとんどの灘校生は要領よく勉強するコツを知っています。

 そういった同級生に勉強のことを聞いたり、一緒に勉強することで気づけばそれなりに良い大学を目指せるようになりました。

 

 振り返ってみても、高校の間それ程勉強を頑張った気がしないにも関わらず目指した大学に進学できたのは、灘の同級生たちのおかげだと思います。

 

 また、卒後20年以上経った現在、同級生に仕事で会うことがあります。

 皆、それぞれの分野で活躍しており助けてもらうこともあります。

 弁護士が必要な状況になったら、同級生に頼もうかなと考えたり……。

 そのように同級生が優秀になってくれるのも、灘などの難関校の良いところだと思います。

(この記事を書いた時に、ふと高校卒業後会っていなかった同級生をgoogleで検索すると、起業して社長になっていたり、研究者として大成していたり……びっくりしました)

 

勉強面以外

 勉強面以外では、クラブ活動を頑張ったり、ファッションに興味を持ったり、映画を見に行ったり……、普通の高校生とそれほど変わらないと思います。

(趣味の部分が数学や物理、地学範囲などに偏っている人も少なからず……かなりの数いるため、普通の高校生では無いかも知れません)

 

 みんな好きなことをやっているので、のびのびと好きなことをする雰囲気があります。

(悪く言えばまとまりが無いと言えるのかもしれません)

 

 ただ、女っけはありません。

 学年で十数人くらい塾などで知り合った人と付き合っているという同級生も居ましたが、基本的にモテません(笑)。

 大学に入って、女性に免疫が無いことに困る人も居るようです。

 

 そういう意味で共学の方が良いという考え方もあるかもしれませんが、ほとんどの灘校生は大学進学後すぐに女性が居る環境に慣れます。

 むしろ異性の目を気にしない男子校だからこそ、好きなことをする灘校生の雰囲気が育まれるのだと思います。

(私は高校時代、共学にすごく憧れましたが……)

 

まとめ

 灘が少し特殊な学校だという自覚はあるので、他の学校では参考にならない部分はあると思います。

 

 ただ、難関校であればあるほど自由な校風だったり、自分が好きなことに突き抜けた生徒が居たり(世間では変人と言われます)、そういう灘と似た側面がある気がします。

 

 このため、灘の経験を中心に進学校に通うメリットとデメリットをまとめると次のようになります。

 

進学校のメリット

  • 大学進学成績が良い同級生のレベルが高いため、学校である程度の成績を取っていればそれなりの大学に進学できると思います。
  • 通塾の必要が無い(かも):塾に関しては、学校によって異なるものの通わなくても良い場合もあります。
  • 同級生が優秀:色々な分野で活躍する同級生に刺激を受けたり、将来的にも同級生が様々な分野で活躍することが期待できます。

 

進学校のデメリット

  • 勉強の進度が早い:特に高校から入学する場合、非常に勉強の進度が早い場合があります。学校の勉強について行くのが大変なことも。
  • 大学対策授業が偏っている:学校で大学受験の対策授業をしてくれる学校もありますが、灘の場合(当時は)東大対策が主でした。塾のようにきめ細かな(色々な大学に対応した)授業というのは難しいかもしれません。
  • 変わった同級生が多い:勉強面や様々な分野で突き抜けた同級生など尊敬できる人も多いですが、その人たちを含めて変人が多いです。世間の常識とずれがある場合が少なくないので、社会に出る際は注意が必要です。

 

 デメリット二つ目の大学対策授業に関しては、塾に比べてという内容なので厳密にいえば進学校のデメリットではありません。

 

 大学進学を考えると難関校に進学することにメリットはありそうです。

 ただ、残念ながら進学校に入学しても学校の勉強についていけず、落ちこぼれてしまう人も居ます。

 そういった人は、進学校に入ることだけが目的になってしまい、入学後のモチベーションが保てなかったという場合が多い気がします。

 

 そうならないためにも、何のために進学校に入学するのか親子でしっかり話し合い、特に子供が主体的に考えておくことが重要だと思います。

(親の考えの押し付けにならないように注意してください)

 大学進学のためや、その学校の雰囲気が好きとかでもいいと思うので、子供自身が望んで入学し入学後も前を向けるようになるのが理想です。

 

 灘以外では当てはまらない部分もあったかもしれませんが、今後灘を含めた難関校受験を考えている人に参考になれば幸いです。