当ブログは、パパ塾で挑んだ中学受験の経験や勉強の内容などを主に記事にしています。
机に向かっているけど、集中できていない気がする……。
小学生の子供に限らず、誰でもそのような経験はあるのではないでしょうか。
我が家ではそのように集中力が途切れた時は、気分転換に公園に連れ出すなど体を動かすようにしていました。
(中学受験の前はコロナ禍ということもあり行けないことも多かったのですが……。受験直前の状況は以下の過去記事をご覧ください)
その時はストレス対策で公園に行くという感じだったのですが、最近になって調べてみると、運動は勉強に良い影響があるという報告が数多く見られます。
どうやら、受験勉強をするうえで体を動かすのは理にかなっていたようです。
我が家がそうやって運動していたのはたまたまですが、勉強するうえで運動なんて必要ないと思っていませんか?
今回は成績を上げたい人にこそ読んでもらいたい運動のメリットに加えて、おすすめの運動についても紹介しようと思います。
中学受験に限らず高校受験や大学受験、大人の学習にも通じるので、是非参考にしてください。
勉強と運動の関係
今回は勉強と運動の関係を解説しようと思うのですが、その前に実は最近の日本の子供に運動離れが起こっているのをご存じでしょうか?
子供が運動離れを起こす原因の一つが親の考えにもあるようです。
最初に、子供の運動離れの報告から紹介しようと思います。
子供の運動離れ
文部科学省の『平成 27 年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査』によると、
- 小学生男子において、1 週間の総運動時間が 60 分未満の児童が 6.6%であり、そのうち 45.0%が全く運動をしていない。
- 小学生女子において、1 週間の総運動時間が 60 分未満の児童が 13.0%であり、そのうち35.7%が全く運動をしていない。
とのことです。
つまり、ほとんど(もしくは全く)体を動かさない子供が一定の割合で居るようです。
また、全体的に以前よりも運動する子供の割合は減っているとのこと。
その原因の一つに、保護者が子供に対して運動よりも勉強してほしいと考えていることが挙げられます。
ベネッセ教育総合研究所が子供をもつ母親に対して 2009 年と 2013 年に行ったアンケート調査によると、運動よりももっと勉強をしてほしいという人が 26.8%から34.8%になり8.0%増加していました。
この記事を読まれている保護者の中には、心当たりがある方も居られるかも知れません。
ただ、本当に運動せずに勉強していれば成績が上がるのでしょうか?
まずは勉強以外の面での運動のメリットを紹介していきます。
運動のメリット(勉強以外)
永松ほかは、「青年期における運動・スポーツ活動とメンタルヘルスとの関係」(体力研究 2009 No.107 pp11~14)において、以下のように述べています。
青年期の積極的な運動・スポーツの実施はメンタルヘルスの維持改善に寄与することが考えられる。
つまり、運動することで精神的に健康でいられるということです。
また、 「成績・クラブ活動と就職新規大卒市場における OB ネットワークの利用」(梅崎修著、松繁寿和編著『大学教育効果の実証分析』日本評論社, 第 2 章, pp. 29-48. )において、スポーツ活動が就職活動に影響を与えるかを検証し以下のように述べています。
- スポーツ系サークルに所属していた人ほど、自分の第一志望の企業に就職できる
- スポーツ系サークルに所属していた人は OB・OG ネットワークをあまり利用していなかった
- このことから、スポーツ活動を通じて培った特性が就職する際に評価されたと考えられる
ここでいうスポーツ活動を通じて培った特性を、青山学院大学の安井健悟研究会による政策フォーラム発表論文「スポーツ活動は学力を向上させるのか」では、IQでは測れない内面の力である非認知能力をスポーツにより養うことができると表現しています。
つまり、運動によって精神的に安定したり、内面的な成長が見られると言えそうです。
これは直接的に成績に影響しないかもしれませんが、受験には重要ですね。
次に、運動と勉強の直接的な関係を紹介します。
運動と勉強の関連
運動とニューロンの関係
以前は脳のニューロンは生まれた時に決まっており、生後は徐々に減っていくと言われていました。
(私自身、そのように言われた記憶があります)
ただ、近年の研究では様々な後天的要素により脳のニューロンが増えると言われているようです。
ハーバード大学医学部のジョン・J・レイティ博士は著書「脳を鍛えるには運動しかない!」(NHK出版)の中で、以下のように述べられています。
運動すると、脳由来神経栄養因子(BDNF)という物質が脳の中でさかんに分泌されます。このBDNFが、脳の神経細胞(ニューロン)や、脳に栄養を送る血管の形成を促すことが明らかになりました。
ニューロンの数を増やすために最も効果が期待できるのは、運動です。さらにものを覚えたり認知能力を高めるために必要な神経結合を増やしたり、ドーパミンやセロトニン、ノルアドレナリンといった思考や感情にかかわる神経伝達物資の分泌を促す効果も、運動にはあります。
ニューロンの他にも、運動によって記憶に関係する海馬が大きくなるという報告もあるようです。
運動することは、勉強するうえで有利に働くと言えそうですね。
運動と成績の関連
運動と成績の関連について有名な報告に、カリフォルニア州教育局が2001年、同州の小学5年生約35万人、中学1年生約32万人、中学3年生約28万人を対象に行った大規模な調査があります。
この調査ではまず、子供たちの体力調査(心肺能力や筋力、持久力、体脂肪率など)を調べ、体力と数学およびリーディング(英文読解)の成績の関連性を分析しました。
すると、体力調査での成績が高い子供ほど、学業成績も優秀な傾向があることが確認されたとのことです。
日本国内でも、文部科学省の小中学校の全国都道府県学力テストの結果と体力・運動能力の調査から、体力テストの合計点が高くなるにつれて、国語と算数の正答率が高くなるという正の相関関係があるとの報告があります。
(出典:中室牧子 勉強するメリットを子ども達に伝える意義:日経xwoman)
さらに、前述の青山学院大学の安井健悟研究会による「スポーツ活動は学力を向上させるのか」では、スポーツ活動頻度を高くすると学力とが高まるという因果関係が明らかになったと報告しています。
(細かく言うと、相関関係と因果関係は似ているようで大きく違います。簡単に言えば相関関係は関係があること、因果関係は原因と結果になることを意味します)
他にも運動と成績に関して、運動する人は成績が良い傾向にあるという報告は国内外を問わず数多く見られます。
どうやら勉強だけするよりも、定期的に運動した方が成績面でも良さそうです。
でも、実際受験生が長い時間運動するというわけにもいきません。
ではどのような運動が良いのでしょうか?
おすすめの運動や目安時間
前述のレイティ博士によると、とくに心肺機能が学業成績と強い相関関係を示しているとのことです。
脳細胞が増える運動「3つの条件」 | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
運動の内容としては、子供の場合はかけっこやボール遊び、ダンス、体操など好きな運動でOKのようです。
ただし、運動に苦手意識がある子供が体を動かしにくいため、球技などの勝ち負けが決まる競技ではない方が良いとのこと。
ただ、ここで注意してほしいのが、運動だけでは成績は上がらないということです。
レイティ博士は次のように述べられています。
運動はあくまで、脳が学習するための準備を整える役割です。
成績を上げるためには、そのあとの学習とセットで考える必要があります。
運動を終えるとまもなく脳の血流が増しますが、このときこそが、思考力や集中力が飛躍的に高まるチャンス。
勉強を始める前、できれば朝に(運動を)やることをお勧めします。
朝に運動して、勉強してから学校に行く……というのは理想なんでしょうが、なかなか難しいですよね。
私は塾に行く前の少しの時間や勉強と勉強の合間など、隙間時間こそ運動に適していると思います。
以下に中学受験を目指す小学生におすすめの運動、および一日当たりの目標運動量を紹介します。
ここで紹介している運動量は学校に通っていることが前提なので、長期休みなどは多めの運動が望ましいと思われます。
注:ここでの運動量は、420分/週(60分/日)適度な運動を行った場合の運動強度以上を目指すものとし(参考:平成27年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査 集計結果|文部科学省)、運動強度(参考:運動強度とエネルギー消費量 | 健康長寿ネット)、通勤通学を合わせた小学生の移動時間(平均58分/日、参考:平成28年社会生活基本調査|総務省統計局)、小学校における体育の授業時数(週当たり2.6-3コマ、参考:小学校学習指導要領:文部科学省)から必要運動量を概算しています。(必要運動量を運動量の単位METsを用いて、およそ75METs/日として計算しています)
ストレッチ・ヨガ
ストレッチ(2.3METs)、ヨガ(2.5METs)であれば、一日約30分程度が目安です。
家の中で、特別な設備が無くても手軽にできるのが良いですね。
30分まとめて行うよりも勉強の合間のリフレッシュとして少しずつ取り入れたり、他の運動と組み合わせるのが良さそうです。
体操
ラジオ体操であれば、一日当たり約15~20分程度が目安です。
ラジオ体操は意外と運動量が多く(4.0-4.5METs)、時間も手ごろです(第二まで含めると約10分)。
また、子供と一緒に家で出来る体操を検索してみると、色々な動画が紹介されています。
このような動画を見ながら一緒に体操するのも良さそうです。
ウォーキング
ウォーキングやジョギングは、体力向上という意味でも理想的です。
ウォーキングは少し汗ばむ程度の早歩き(4.3METs)で、一日当たり約15~20分程度が目安です。
通塾の途中に、少し早歩きで歩いてみるなんていうのも一つの手ですね。
ジョギング
ジョギングは、ゆっくりしたものでも運動強度が高い(6.0METs)ので、短時間で運動量を確保したい場合におすすめです。
1日当たり、10分強程度が目安になると思います。
エアロバイク
ジョギングはおすすめなのですが、外出の必要があること、雨の日はできないことから我が家ではエアロバイクを使っています。
(というよりダイエット目的で買ったエアロバイクを、勝手に子供が使い始めたのですが……)
エアロバイクの運動強度はこぐ強さによって変わりますが(3.5-6.8METs)、概ね1日当たり15分程度が目安になると思います。
ちなみに、我が家で使っているエアロバイク(FIT BOX LITE)はおすすめです。
非常に静かなので近所迷惑にならないですし、デザインもおしゃれで気に入っています。
連続稼働時間が120分と非常に長いので、子供が使った後に続けて親も使えます。
(対象が身長145cm以上なのでご注意ください。うちの子はそれ以下でも使用していましたが……)
運動の組み合わせ
上で紹介した運動を複数組み合わせると、必要運動量が無理なく達成できると思います。
(例) 早歩き10分+ストレッチ10分、エアロバイク10分+体操5分、など。
最後に
前々回の記事で、中学受験を目指す子供が夏までにするべきことを紹介しました。
(詳しくは過去記事をご覧ください)
その中でも運動をおすすめしていたのですが、夏前に限らず受験生こそ意識して運動することが重要です。
継続できる無理のない範囲での運動で良いので、少しずつ始めてみてはいかがでしょう。
運動以外にも、睡眠や食事も非常に重要です。
それらも過去記事で紹介しているので、良ければご覧ください。