中学受験算数では昔から(私が小学生の頃から)よく議論される問題があります。
その問題とは方程式を使うか否か、です。
私は小学生の頃、灘中を受験しました。
当時私が通っていた塾では、灘中は方程式を使うと上手く解けない(解きづらい)問題が出題されることがあるため、方程式を使わない方が良いと教えられました。
ただ、私が「パパ塾」をするときに調べた限りでは、やはり方程式は使わない方が良いという人、中学受験算数であっても方程式は教えても良いのではないかという人、むしろ難関中学を受験する場合に方程式を使用することを勧める人など様々な意見があるようでした。
結論から先に言うと、私は方程式を教えていません。
今回は私が「パパ塾」を通じて算数を教える中で、方程式を使わない方が良いと考えるに至った理由を書こうと思います。
方程式を使わない方が良い4つの理由
参考書や問題集が使えない
我が家は「パパ塾」で受験勉強をしている、つまり自宅学習がメインです。
我が家と同じように家庭学習をメインにしていなくても、家庭学習をしようとした場合、基本的に参考書や問題集を使用すると思います。
(うちの場合、某進学塾のテキストも使用していますが……)
それらの解答は方程式を使わずに解答されているんです。
また、過去問を行う際にも赤本や某進学塾のサイトの解答も方程式は使われていません。
つまり、方程式を使った解法では、市販の問題集などが軒並み使えなくなります。
当然、塾で方程式を教えられ、塾のテキストの解説に方程式が載っている場合であれば問題ないと思います。
そうで無いなら方程式を教えられても、子供が余計混乱するだけだと思います。
小学生は文字の計算や負の数の概念が理解しにくい
そうは言っても様々な特殊算を個別に勉強するのは大変。
方程式なら一つの方法で早く解けるから良いのでは? と考える方もいるかもしれません。
ただ、方程式を正しく使うためには負の数を理解させることから始まって、絶対値の概念(数直線)、正負混合の計算、分配法則と結合法則、移項などを教えなければいけません。
私も試しに方程式っぽい考え方を教えたこともあるのですが、
- 文字を使った抽象的な考え方が難しい
- 負の数を理解しづらい
- 文字を使った式の分配法則などは拒否感があるのか理解しづらい
……などといった問題が出てきたため早々に諦めました。
プレジデントオンラインにもパパが(方程式で)算数を教える問題が挙げられていました。
そもそも受験算数の問題は多岐に渡り、付け焼刃の方程式で対処するのは難しいことも多いようです。
方程式で解く前提であれば、小学4年くらいからきっちりと方程式を教えないと間に合わない気がします。
受験で方程式を禁止しているわけではありませんが、方程式を使う方がかなりの覚悟が必要そうですね。
やはり方程式では解きにくい問題がある
方程式よりも特殊算を使った方が早い問題や、方程式で解きにくい問題があります。
まずは以下の問題を見てみてください。
(例題1)5%の食塩水と10%の食塩水を混ぜて6%の食塩水500gを作ります。5%の食塩水は何g使用しましたか?
この問題は方程式で解く場合、5%の食塩水の重さをx、10%の食塩水の重さをyとし、
x+y=500
5x/100+10y/100=6×5/100
という連立方程式を立てて解くことになると思います。
一方、受験算数で使われる濃度算を勉強している子供は、次のてんびん図を思い浮かべて数秒で答えに辿りつきます。
5%の食塩水と6%の(最終的にできた)食塩水の距離(濃度の差):6%の食塩水と10%の食塩水の距離(濃度の差)=1:4なので、5%の食塩水と10%の食塩水の量は逆比の4:1になります。
合計の5が500gになっているため、5%の食塩水の量である4は400gと分かります。
慣れている小学生はこれを暗算でやるんですよね……。
方程式の方が早い、とは限らないと分かっていただけたでしょうか?
また、他のパターンでは次のような問題もあります。
(例題2)1個の値段が27円のにんじん、30円のじゃがいも、50円のたまねぎを合わせて16個買い、648円支払いました。このとき、じゃがいもを何個買ったか求めなさい。(にんじん、じゃがいも、たまねぎはすべて1個以上買ったものとする。)
(日本女子大学附属中学校、一部改)
これも方程式を使おうとすると、次のようになると思います。
にんじんの個数はx、じゃがいもの個数はy、たまねぎの個数はzとして、
x+y+z=16
27x+30y+50z=648
使う文字が3つ、式は2つとなり解きづらいですよね?
これは中学受験算数ではつるかめ算の応用問題です。
まず、上の図のように面積図を考えます。
ここで、仮に16個すべてたまねぎを買うとすると16×50=800円必要です。
実際に支払った金額は648円のため、差額152円が上の図の左上、点線の範囲になります。
これを図にすると下のようになります。
ここで普通のつるかめ算と異なるのは、横軸(にんじんとじゃがいもの合計個数)が分かっていないことです。
ただし、条件を整理すれば答えに辿りつけます。
仮にすべてじゃがいもを買ったとしたら、
152/20(じゃがいも1個あたりの差額)=7.6
実際はじゃがいもより差額の大きいにんじんを買っているため、にんじんとじゃがいもの合計個数は7.6より小さくなります。
また、同様に仮にすべてにんじんを買ったとしたら、
152/23(にんじん1個あたりの差額)=約6.6
これも同様に実際はじゃがいもも買っているため、にんじんとじゃがいもの合計個数は6.6より大きくなります。
上の条件を満たす整数は7しかありません(つまりたまねぎは9個)。あとは普通のつるかめ算を用いてにんじん4個、じゃがいも3個と分かります。
算数のあざやかな解き方を知ってほしい
私は「パパ塾」などと言いながら、(当たり前ですが)プロの塾講師や家庭教師ではありません。
なので算数の本当の面白さをちゃんと伝えられているのか不安はあります。
ただ、私自身算数って面白いなぁと思います。
数十年ぶりに算数を解くと本当にあざやかな解き方をする面白い問題が数多くあるんですよね。
上の問題以外にも「パパ塾」で教えていて、子供も「なるほどー、面白いな」と言うことが多々あります。
そんな経験はこれから先に柔軟な考え方をするときに役立つこともあると思います。
考え方に多様性が生まれると言えるかもしれません。
実際、企業で就職試験として採用されている「非言語テスト」では算数的な解き方をする問題、数学の知識では解きにくい問題が出題されることもあるようです。
これも数学の知識を問うのではなく、柔軟な考え方や多様な考え方を見たいのではないでしょうか?
勉強に無駄はありません。
方程式の解き方を教えることは一見無駄が無いように思えますが、無駄(考え方の多様性)を無くすことで失っているものがあるのかもしれませんね。
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