パパ塾で受験

親子で挑んだ中学受験体験記と小中高生の勉強解説

灘中の算数 2022年 1日目大問6 (数の性質)


 灘中算数の入試問題を不定期で解説しています。

 

 今回は灘中らしい数の性質の問題です。

 

この記事で分かること 灘中算数2022年 1日目大問6の解説
(比較的難しい数の性質の問題)

 


 

 

2022年  1日目大問6  難易度★★★★☆



灘中学2022年算数1日目中学入試問題より引用

 

 2×……×2(2をウ回かけたもの、つまり2のウ乗)をA

 3×……×3(3をエ回かけたもの、つまり3のエ乗)をB

 とします。

(表記の問題で文字を置くだけなので、そのまま計算してもOK)

 

 問題文は {\frac{ア}{A}}-{\frac{イ}{B}}-{\frac{1}{625}}={\frac{337}{A \times B \times 625}}

 つまり {\frac{ア}{A}}-{\frac{イ}{B}}={\frac{337}{A \times B \times 625}}+{\frac{1}{625}}

     {\frac{ア}{A}}-{\frac{イ}{B}}={\frac{337+A \times B}{A \times B \times 625}}

  となります。

 

 この式の両辺を見比べると、左辺は通分しても分母に625がありません。 

 つまり、右辺を整理すると分母から625が消えるはずです。 

 要するに、右辺の分子は625の倍数と分かります。 

 

 {337+A \times B}=625 \times 〇なので、

 〇=1、つまり右辺が625になる場合から考えていきます。

625 \times 〇は、625の倍数という意味で表記しています)

 

〇=1のとき

 {337+A \times B=625 \times 1}

 つまり、{A \times B}=288です。

 

  ここで、ウとエは2以上5以下と書かれているので、

  Aは4、8、16、32のいずれか

  Bは9、27、81、243のいずれかになります。

 

 288は素因数分解すると 

 288={2 \times 2 \times 2 \times 2 \times 2 \times 3 \times 3} 

 であるため、A=32、B=9 のとき条件を満たします。 

 

 A=32、B=9を問題の式に当てはめると、

 {\frac{ア}{32}}-{\frac{イ}{9}}={\frac{337+32 \times 9}{32 \times 9 \times 625}}

 {\frac{ア}{32}}-{\frac{イ}{9}}={\frac{1}{32 \times 9}}

 つまり、{9 \times {ア}}-{32 \times {イ}}=1

 

 ここで、イは1から9の整数と分かっているので、順に当てはめます。
 イ=1のとき{9 \times {ア}}=33となり、アが整数とならないため不適。
 イ=2のとき{9 \times {ア}}=65となり、アが整数とならないため不適。
 イ=3のとき{9 \times {ア}}=97となり、アが整数とならないため不適。
 イ=4のとき{9 \times {ア}}=129となり、アが整数とならないため不適。
 イ=5のとき{9 \times {ア}}=161となり、アが整数とならないため不適。
 イ=6のとき{9 \times {ア}}=193となり、アが整数とならないため不適。
 イ=7のとき{9 \times {ア}}=225となり、アが25と整数になります。
 イ=8のとき{9 \times {ア}}=257となり、アが整数とならないため不適。
 イ=9のとき{9 \times {ア}}=289となり、アが整数とならないため不適。

 

 よって、答えはア=25と分かります。

 

 実際の入試であれば、問題・解答欄から答えが一つしかないと考えてここで終了して良いと思います。

 この記事では{337+A \times B}=625 \times 〇の〇が2以上でも成り立つかを考えます。 


 

〇が2以上のとき

 {A \times B}=288+625 \times (〇-1)

 という式において、{A \times B}について考えます。

 

  Aは4、8、16、32のいずれか

  Bは9、27、81、243のいずれかと分かっているため

 {A \times B}素因数分解すると約数は2と3のみです。

 

 また、{A \times B}は288より大きいため、約数に2と3の両方がある(つまり6の倍数である)ことが分かります。

(Aの最大値32、Bの最大値243よりも288の方が大きいため)

なお、288も6の倍数です。

 

 288に625の倍数を足すと6の倍数になるというのは、625の倍数が6の倍数のときだけです。

 よって、288+{625 \times 6 \times □}、つまり288+{3750 \times □}が2と3だけの倍数になるかを調べます。

 

 □=1のとき4038、□=2のとき7788。

 4038も7778も2と3以外に約数を持つため、この問題の条件にあてはまりません。

 

 ここで、{A \times B}の最大値は{32 \times 243=7776}なので、

 □=3以上はあり得ません。

 

 つまり、〇が2以上はあり得ないと考えられます。


 

数の性質 問題集の紹介

 数の性質の問題は、灘を始めとした難関校でよく出題されます。

 

 比較的パターン分けするのが難しい単元ですが、それでも類似パターンをやったことがあるというのは重要です。 

 今後灘などの難関校を受験を考える方はたくさんのパターンの問題を解いてみてください。

 

 数の性質を解くうえで、以前にも紹介したおすすめの問題集を挙げてみます。

 参考にしていただければ幸いです。

 

4~5年生向け

 4年生くらいで数の性質を学び始める頃、または苦手を復習目的の5年生くらいを想定しています。

 目指す学校の難易度により学年は前後すると思います。

 

合格する算数の授業 数の性質編 [実務教育出版]

 中学受験専門塾の授業内容を再現しているという内容は、先生と生徒の会話形式で分かりやすくなっています。

 内容自体、基本的な事柄からかなり発展的な内容まで含むので、数の性質を初めて勉強する子だけでなく、幅広い層におすすめの一冊です。

 解説が詳しいので、家で教えようという親にも優しい作りになっています。

 

5~6年生向け

算数プラスワン問題集 [東京出版]

 難関校を目指す子どもが、5年生後半頃、一通りの勉強が終わりさらに発展的な内容に取り掛かる前におすすめなのがこの算数プラスワン問題集です。

 また、中堅校志望の6年生が一通りの復習をする目的で使用するのもおすすめ。

 様々な領域の問題が収載されていますが、数の性質の復習にも良いです。

 入試に必要な「何を使って解くのかの見極め」をする力を養成することを目標としており、自宅学習メインの子は当然として塾に通われている子にもおすすめです。

 

難関校受験6年生向け

算数 合格へのチャレンジ演習 [東京出版]

 難関校受験生におすすめしたいものの一つに、月刊誌「中学への算数」があります。

 それ自体の定期購読もおすすめなのですが、この合格へのチャレンジ演習は「中学への算数」の中でも難しい「発展演習」で取り上げられた問題が厳選されています。

 数の性質に関する問題も取り上げられており、難関校受験生にはチャレンジしてほしい問題集です。

 

最後に

 この問題は良い解き方が思い浮かびませんでした。 

 特にアとイの求め方は全ての数字を当てはめるという力技です。 

 

 入試レベルの難問の場合、きれいな解き方が無い(もしくは思い浮かばない)ことがあります。 

 そういったときに、全ての場合を効率よく当てはめて解かなければいけません。

 この問題の場合、イは1から9の整数と分かっているためイに順に数字を当てはめると解けます。

 

 また、この問題の後半部分(〇が2以上の場合)は実際には考える必要がありません。

 それを省略せず長々と書いているため、文章が煩雑となり分かりにくい文章になりました……。

 

 後半部分を省略するとしても、この問題は難しいと思います。

 灘中入試の1日目算数は、60分で12問と1問あたりにかけられる時間が限られます。

 この問題は、後回しにしてゆっくり解く(もしくは飛ばす)問題だと思います。

 

 今後、灘を受験することを考える人は参考にしていただければ幸いです。 

 

 ちなみに今回、分数を表記するために「sun sun fineな日々」さんの数式の書き方を参考にさせて頂きました。

www.sunsunfine.com

 

 その結果、「はてな記法」で書く必要がありました。

(普段は「見たまま」で書いています。)

 

 なんどもプレビューを見ながら書いていますが、表記がおかしければ教えてください。

 それにしても、はてな記法難しいですね。

 今後、なるべく分数に関する問題を取り上げないようにしようと決意しました。

(取り上げて欲しい問題があれば、コメント頂ければ分数でも取り上げますが……)