灘中の算数入試問題を不定期に解説しています。
今回は2022年1日目の2番、仕事算に関する問題です。
灘中入試算数1日目は60分で12、3問を解く必要があり時間との勝負になります。
灘中受験生は、この問題のように標準的な問題はミスなく短時間で解きたいところです。
灘中受験を考えていない受験生でも、標準的な問題なので解いてみてはいかがでしょうか。
2022年 1日目大問2 難易度★★☆☆☆
問題文の前半部分と後半部分で状況が変わっているため、それぞれについて考えます。
兄が働き始めて、95分後に弟も働き始める場合
この問題は、途中で休むタイプの仕事算の問題ですが、冷静に働いている時間を考えると難しくはありません。
兄は95分間の間に、
30分働く→5分休憩→30分働く→5分休憩→25分働く
という状況になっています。
95分と数字が小さいうちは、上のように実際に書いても良いと思います。
ただし、数字が大きくなると対処できないため、周期算のように考えた方が良いかもしれません。
(この問題に限ってはどちらで考えても良いと思います)
兄の働き方に関しては、35分を1周期と考えると良いでしょう。
35分のうち、最初の30分は働き残りの5分を休憩しているという考え方です。
そして、端数(35分周期で考えた時の余り)だけを考えます。
すると、95÷35=2あまり25 なので、
95分間で2周期と25分の端数が生じ、この25分は周期の最初の30分の間なので働いていたと考えられます。
その後、40分経過して(合計135分で)仕事が終わっています。
その間、兄は
5分働く→5分休憩→30分働く
という働き方をしており、135分のうち120分働いていたことが分かります。
(135÷35=3あまり30なので、3周期分と端数の30分働いていたと考えてもOK)
弟は40分間働いていたことになるので、この仕事は
兄120分+弟40分 ――①
の仕事量と分かります。
弟が働き始めて、90分後に兄も働き始める場合
兄は休憩込みで50分間働いていたことになります。
実際の労働は、
30分働く→5分休憩→15分働く
と45分働いていたことが分かります。
(50÷35=1あまり15と考えてもOK)
弟は140分まるまる働いていたことになります。
つまり、この仕事は
兄45分+弟140分 ――②
の仕事量と分かります。
仕事量の比を求める
仕事算の問題では、この問題のように2人(以上)の人など(草を食べる牛などの場合もありますが……)が登場します。
その登場人物の時間当たりの仕事量を求めるのが鉄則です。
この問題では上記の①、②の式を使うと仕事量の比を求められます。
①:兄120分+弟40分
②:兄45分+弟140分
これはいずれも全仕事量を表しており、同じになります。
つまり、
兄120分+弟40分=兄45分+弟140分
となり、
兄75分=弟100分
と分かります。
よって、兄と弟の仕事量の比は75:100(つまり3:4)の逆比となり、
兄:弟=4:3
であることが分かります。
この比の値を用いて全仕事量を求めると、
120×4+3×40=600 となります。
(または45×4+140×3でも同じ)
この問題では、この全仕事量を弟だけで終わらせるので、
600÷3=200分 と分かります。
問題集紹介
この問題は本当に標準的な問題なので、中堅校受験生であっても確実に解きたいところです。
灘に限らず、入試問題ではこの問題のように基本~標準的な問題も紛れているため、確実に得点できるかが合格のカギとなります。
算数は分野が多いため、苦手な分野でもある程度は解けるように問題演習する必要があります。
仕事算だけを取り上げている問題集は少ない(ほぼ無い)ため、他の分野と併せたおすすめの問題集を紹介します。
中学入試まんが攻略BON! [学研教育出版]
理科や社会のみならず、国語や算数の各分野をまんがで分かりやすく解説してくれているシリーズです。
苦手分野の理解や、勉強を始める際に(予習として)読ませると良いと思います。
この本はタイトルこそ仕事算ですが、差集め算、相当算、過不足算、濃度算、平均算、分配算、損益算、ニュートン算の内容も収載されています。
どれも中学入試で非常に重要な単元なので、興味があれば買ってみてはいかがでしょうか。
算数プラスワン問題集 [東京出版]
難関校を目指す子どもが、5年生後半頃、一通りの勉強が終わりさらに発展的な内容に取り掛かる前におすすめなのがこの算数プラスワン問題集です。
また、中堅校志望の6年生が一通りの復習をする目的で使用するのもおすすめです。
入試に必要な「何を使って解くのかの見極め」をする力を養成することを目標としており、自宅学習メインの子は当然として塾に通われている子にもおすすめです。
スピードアップ算数 [文一総合出版]
入試で重要な項目を取り上げ、詳しく解説されている問題集です。
難関校受験者が想定されているのか、基礎編と言っても受験算数の基礎というイメージです。
一通りの算数の勉強が終わった生徒向け、難関校受験者なら5年生頃、中堅校受験者なら6年生頃におすすめです。
中学入試 最高水準問題集 算数 [文英堂]
市販の(一般の書店で販売されている)問題集で最難関の問題集と言えば、この最高水準問題集だと思います。
過去にも当ブログで紹介したことがありますが、難問かつ良問が厳選されています。
用途を考えると、再難関校を目指す生徒が6年生の春から夏頃に特定の分野のやり直し目的で使用するのにおすすめです(塾の勉強+αの勉強がしたい、など)。
算数 合格へのチャレンジ演習 [東京出版]
難関校受験生におすすめの月刊誌「中学への算数」の中で、「発展演習」という難問として取り上げられた問題が厳選されています。
(この問題集は、上記の算数プラスワン問題集とともに一般の書店では見たことがありません。大きい書店にはあるかもしれませんが、ネットでの購入が無難です)
難関校を受験しようと考えている6年生が、高いレベルで一通り復習するにはおすすめの問題集です。