パパ塾で受験

親子で挑んだ中学受験体験記と小中高生の勉強解説

灘中の算数 2023年2日目

 

 前回に続き、灘卒の筆者が2023年灘中入試2日目を解いてみました。

 

 今後、灘中受験を検討する方の参考になれば幸いです。

 

 クイズとしても面白いため、大人でも解いてみてはいかがでしょうか?

(特に子どもの中学受験を考えている親には、どんなレベルが求められているのか知るためにも一度解いて欲しいです。)

 

(塾無しで灘に合格し、現役で東大理3に進学した同級生はZ会を利用していました)

 

(2023年灘中入試算数1日目の解説はこちら。)

kishi-john.hatenablog.com

 

(注意)

 ブログの性質上作図が難しいため、図形問題は作図無しで考え方だけ書いておきます。

 

 問題文は、以下よりダウンロードお願いします。

drive.google.com

 

灘中算数 2023年 2日目

大問1

灘中学2023年算数2日目中学入試問題より引用

 規則性の問題です。

(1)

 実際に81から【操作】を3回行います。

 81→84→42→21

 となり、答えは21となります。

 

 このまま【操作】を続けると、

 81→84→42→21→24→12→6→3→6→……

 となります。

 途中からは6と3の繰り返しと考えられるため、

 6回【操作】を行って以降の数字で、偶数回【操作】後は6、奇数回だと3となります。

 よって答えは3です。

 

(2)

 1から遡って考えていきます。

 1→2→4→8

 最後の3回の【操作】は1通りしかありません。

 4回目には16と5の2通りあります。

 5回目には、4回目で16であった場合32か13、5であった場合10(または2ですが、2は奇数でないため矛盾します)。

 6回目には、5回目で32であった場合64か29、13であった場合26(または10、10は奇数では無いため矛盾)、10であった場合20か7.

 

 よって、答えは7、20、26、29、64です。

 

(3)

(2のn乗が数式として記載できないため、言葉で書きます。見にくくて申し訳ありません。)

 今までと同様に【操作】を行っていきます。

 

 (2の2023乗)ー1→(2の2023乗+2)→(2の2022乗+1)→(2の2022乗+4)→(2の2021乗+2)

(2の2020乗+1)→……

 

 2回目の【操作】の後は3回の【操作】に1回、2のn乗+1が含まれます。

 3回の【操作】を行うごとに2のn乗のnが2減ることに注目。

 

 最終的に1になる一つ前の数字は2、つまり2の0乗+1なので、そこまでの【操作】回数は、

 2+2022÷2×3=3035回

(最初の2というのは、(2の2022乗+1)が出てくるまでに行った【操作】回数)

 

 最後に1回【操作】することで1になるため、答えは

 3035+1=3036回

 

 規則性の問題の基本ですが、まずは法則を理解するために条件通り書いていくことです。

 比較的解きやすい問題なので、ミスしないように注意が必要です。

 所要時間は5-6分でした。

 

大問2

灘中学2023年算数2日目中学入試問題より引用

 三角錐を回転させる問題です。

 非常に解説しにくいため考え方のみ記載します。

 

 インクは2辺(2cm)付く場合と、1辺(1cm)しか付かない場合の2通りあります。

 また、(1)では1回転することで1辺ないし2辺にインクが付いた後、2回転目で元の位置に戻すというパターンがあることも考えておかなければいけません。

 

 基本的に(1)と(2)は数えていくだけの問題です。

 

 (3)の考え方です。

 1辺にインクが付くことを①、2辺にインクが付くことを②と記載します。

 ①の次は①も②もあり得ますが、②の次は①しかありえないことに注意が必要です。

(最初の状態の②から1回転目で②になることは可能です。)

 

 インクの長さが最大になるのは、②①②①、①②①②、②①①②の3パターンす。

 

 ②→①で2通りの転がし方があるため、

 ②①②①では2×2=4通り

 ①②①②は、転がす前の状態も②と考えられるため2×2=4通り

 ②①①②では2通り

 答えは10通りです。

 

 久しぶりに算数の立体を解くような人間には少し辛かったです。

 子どもに教えていた算数(パパ塾)でここまでの問題は扱わなかったので……。

 ただ、冷静に一回ずつ動かせばそこまで難しく無いと思います。

 所要時間は7-8分といったところだと思います。

 

大問3

灘中学2023年算数2日目中学入試問題より引用

 集合の問題です。

 一部につるかめ算のような考え方を使います。

 

(1)

 クラスの総得点

 5.68×25=142点。

 2番と3番を正解したことによる得点の合計は

 3×14+5×14=112点。

 

 つまり1番による得点は30点。

 1番は2点なので、正解した人数は

 30÷2=15人。

 

(2)

 2問正解した人の総得点は、

 6.5×16=104点。

 

 3問正解した人の得点と、1問正解した人の得点の合計は38点。

 

 3問正解すると10点、1問正解した人の平均点は3.5点であるため、

 3問正解した人数を〇人、1問正解した人数を□人とすると、

 10×〇+3.5×□=38

(当然方程式を使っても良いですが、変数が2つ、式が1つのためそれだけで答えは出ません。)

 

 これを満たす可能性がある〇は1のみ。

(他は□が整数にならないため。)

 

 このとき、1問正解した人の合計得点は28点になるため

 28÷3.5=8人 が答えになります。

 

(3)

 ベン図を書くと少しイメージしやすいかもしれません。

 (2)で10点は1人(と1問正解は8人)と出ているため、これは前提条件とします。

 5点の得点パターンには1番と2番を正解する場合と、3番のみ正解の場合があることに注意。

 

8点2人の場合

 8点の2人の合計得点は16点。

 よって、残りの2問正解の総得点は104-16=88点。

 5点(1番と2番正解)と7点(2番と3番正解)の人数は14人。

 

 つるかめ算を使うと

 5点(1番と2番正解)5人、7点9人 と分かります。

 

 ベン図をイメージすると

 3点(2番のみ正解)は6人、5点(3番のみ正解)は2人、2点(1番のみ正解)は0人。

 

 よって、10点1人、7点9人、5点7人、3点6人、2点0人となります。

 

8点4人の場合

 同様に8点の総得点は32点のため、残りの2問正解は12人で合計72点。

 

 つるかめ算を使うと

 5点(1番と2番正解)6人、7点6人 と分かります。

 

 ベン図をイメージすると

 3点(2番のみ正解)は3人、5点(3番のみ正解)は3人、2点(1番のみ正解)は2人。

 

 よって、10点1人、7点6人、5点9人、3点3人、2点2人となります。

 

8点6人の場合

 同様に8点の総得点は48点のため、残りの2問正解は10人で合計56点。

 

 つるかめ算を使うと

 5点(1番と2番正解)7人、7点3人 と分かります。

 

 ベン図をイメージすると

 3点(2番のみ正解)は0人、5点(3番のみ正解)は4人、2点(1番のみ正解)は4人。

 

 よって、10点1人、7点3人、5点11人、3点0人、2点4人となります。

 

 落ち着いて一つ一つ確実に条件を整理すればそれほど難しく無いと思います。

 所要時間は7-8分程度でしょうか。

 

大問4

灘中学2023年算数2日目中学入試問題より引用

 作図できないため、解説は困難です。

 考え方のみ記載します。

 

 (1)は三角形ABCと同じ正三角形6個から、半径6cm、中心角120度のおうぎ形を引くように考えます。

 15.6×6-6×6×1/3×3.14=55.92

 

 (2)では、動く直線の両端が描く図形を考えます。

 描かれる図形は、三角形ABCと同じ正三角形7個から、半径6cm、中心角120度のおうぎ形を引いたものと同等です。

((1)よりも正三角形1個分面積が大きくなっています。)

 15.6×7-6×6×1/3×3.14=71.52

 

 (3)では両端だけでは不十分で、実際に直線の動きをイメージする必要があります。

 点Fが中心Aと重なってからは、直線そのものが動いていると考えた方が考えやすいかなと思います。

(具体的には、点Dと点Fの最も張り出す部分どうしを直線で繋いだ形になります。)

 

 面積に関しては図無しでは非常に説明困難なのですが、

 (1辺6cmの正方形)ー(1辺6cmの正三角形)-(半径6cm中心角30度のおうぎ形×2)+(1辺6cmの正三角形)×2

 という形になっているため

 36+15.6-6×3.14=32.76 となります。

 

 図形の移動のイメージが難しく、差がつきやすそうです。

 所要時間は10-15分程度と思います。

 

大問5

灘中学2023年算数2日目中学入試問題より引用

 この問題も作図できないため考え方のみの解説です。

 

 (1)は点Hを含む方も含まない方も同じ形なので

 6×6×6÷2=108

 となります。

 

 (2)は1辺の長さ3cmの立方体から、底辺が1辺3cmの直角三角形で高さ3cmの三角錐を3個引いた図形となります。

 3×3×3-3×3÷2×3÷3×3=13.5

 が答えです。

 

 (3)はDが含まれる側の4個の立方体を一つ一つ分けて考えるのが良いと思います。

 上奥の立方体の2/3、上手前の立方体の1/6、下奥の立方体の1/6、下手前の立方体の2/3が求める立体に含まれるため、答えは

 3×3×3×5/3=45 です。

 

 (4)この問題はきっちりとイメージ(作図)ができず解けませんでした。

 これを時間内に解ききる小学生は本当にすごいですね。

 

 NPQを通る平面が立体Vを切断する際に、立方体ABCD-EFGHの上半分、つまり点Aを含む立方体、点Bを含む立方体、点Cを含む立方体、点Dを含む立方体の4個だけを考えると良い状況になります。

 

 点Aと点Dを含む立方体のうち、求める部分の体積は三角錐の部分(立方体の1/6)。

 点Bと点Cを含む部分の合計は立方体1個分から三角錐1個分を引いた部分(立方体の5/6)。

 つまり求める体積は小さい立方体の7/6倍なので、

 3×3×3×7/6=31.5 となります。

 

 (3)、(4)はできなくても仕方ないかなと思います。

 特に(4)は正答率がかなり低かったのではないでしょうか。

 他の問題の見直しをして、余った時間を使う程度の考え方になるのではないでしょうか。 

 

 一部の次元が違う天才以外は、解ける問題をしっかり解くことが合格への近道と思います。

 

最後に

 前回に引き続き灘中学の入試問題を解いてみました。

 小学生が限られた時間でこれを解くのは本当にすごいですよね。

 

 2023年の中学入試に関するデータが公表されているようです。

 それによると、算数は1日目2日目各100点(併せて200点)満点で、合格者平均145.1点。

 合格最低点は、500点満点中316点とのことでした。

 

 これから考えると、1日目は8割程度、2日目は6割程度正解できれば良い計算になります。

 つまり、超難問に正解しなくても標準的な問題を確実に解ければ(算数に関しては)合格点は取れそうです。

 ……それが難しいんですけどね。

 今後灘中を目指す方は、大変だと思いますが頑張ってください。

 

 

 最後に、今後灘中を目指す方に。

 灘を考えるような人は、自分が賢いと思っているかもしれません。

 でも、灘では本当の天才に会えます。

 上には上が居ることが知れます。

 レベルは高いですが、ガリガリ勉強している人はあまり居ません。

 灘校生はおっとりしている人が多いのでギスギスもしていません。

(この辺は学年にもよるかもしれませんが……。)

 灘は本当に自由です、皆好きなことをしています。

 中学・高校で好きなことを見つける人も多いです。

 灘で好きなことをして、将来について考えてみてはいかがでしょうか。

 OBとしては、願わくば世界のためになることをする人になって欲しいです。

 本当に良い学校なので、ぜひそのまま目指してみてください。