灘中の算数入試問題を不定期に解説しています。
(最新の2023年過去問は以下の過去記事を参照ください)
今回は2020年1日目の5番、数の性質に関する問題です。
やや易しい難易度の問題ですが、「問題文の例(例題)から考え方のコツが掴めるか」がポイントだと思います。
灘中入試算数1日目は60分で12、3問を解く必要があり時間との勝負です。
灘中受験生は、この問題のようにやや易しい難易度の問題はミスなく解きたいところです。
灘中受験を考えていない受験生でも、面白い問題なので解いてみてはいかがでしょうか。
2020年 1日目大問5 難易度★★☆☆☆
単純なピラミッド型の規則性の問題と思いきや、実は数列が11の〇乗(11を〇回かけたもの)の答えを表すという面白い問題です。
このピラミッド型の数列は「パスカルの三角形」と呼ばれ、〇乗の計算をする際に使われる考え方……なのですが、中学入試でそこまでの知識は不要と思います(高校入試や大学入試でも不要かも)。
こういった問題では、問題で挙げている例(例題)をしっかり確認することで、どのような規則があるのかを確認しなければいけません。
例題
この問題文中で挙げられている例(例題)を見ていきます。
11の4乗(11を4回かけたもの)の答えまでは4段目に並ぶ数列の通り(14641)です。
それに対して、11の5乗から単純に数列の通りになっていないことに注目します。
5段目の数列は1,5,10,10,5,1なのに、11の5乗の答えは161051です。
この違いはどこから来ているのでしょう?
答えは「繰り上がり」です。
(5段目の数列「1,5,10,10,5,1」と11の5乗の答え「161051」の共通する部分から、繰り上がりを思いついて欲しいところです)
5段目の数列は1,5,10,10,5,1ですが、これを1の位が1、10の位が5、100の位が10、1000の位が10、10000の位が5、100000の位が1と考えることにします。
100の位に注目すると10になっています。
これは10×100と考えられるので実際は1000となり、100の位は0、1000の位に1繰り上がると考えます。
そのように考えると、5段目の数列の1,5,10,10,5,1というのは100の位と1000の位が1ずつ繰り上がるため161051となり11の5乗の答えと一致します。
解答・解説
この問題では11の100乗の下6桁を求める必要があります。
ここで100段目の数列の右6桁の数字は問題で示されており、1の位が1、10の位が100、100の位が4950、1000の位が161700、10000の位が3921225、100000の位が75287520です。
……数字が大きくなるので何となく難しく感じられますが、一つ一つ考えれば難しくありません。
1の位はそのままですが、10の位は100、つまり10×100という意味で、1000の位に1繰り上げることになります。
100の位は4950、つまり100×4950=495000となり、1000の位に5、10000の位に9、100000の位に4繰り上げることになります。
1000の位は161700、つまり161700×1000=161700000となり、100000の位に7繰り上げることになります(それ以上の桁はこの問題では考える必要がありません)。
10000の位は3921225、つまり10000×3921225=39212250000となり、10000の位はそのまま5、100000の位には2繰り上げることになります。
100000の位は75287520、つまり計算するまでもなく100000の位は0となるためこの問題では考える必要がありません。
(念のため計算式を書くと、100000×75287520=7528752000000となり、100000の位は0です)
これをまとめると、
1の位は1。
10の位と100の位はともに0。
1000の位は10の位から繰り上げられた1と100の位から繰り上げられた5を足して6。
10000の位は100の位から繰り上げられた9と10000の位の5を足して14、つまり10000の位は4で100000の位に1繰り上がることになります。
100000の位は100の位から繰り上げられた4、1000の位から繰り上げられた7、10000の位から繰り上げられた2と先ほどの1を全て足して14となるため4となります。
よって答えは446001となります。
別解(表)
上記の考え方と同じなのですが、文字にすると非常に長くなるため一目でわかるように表の形式で記載してみました。
漢数字で表記しているもの(列)が桁数(位)を表しています。
百万 | 十万 | 万 | 千 | 百 | 十 | 一 | |
1 | 1 | ||||||
10 | 1 | 0 | 0 | ||||
100 | 4 | 9 | 5 | 0 | |||
1000 | 1 | 7 | 0 | 0 | |||
10000 | 2 | 2 | 5 | ||||
100000 | 2 | 0 | |||||
合計(繰上前) | 5 | 13 | 14 | 6 | 0 | 0 | 1 |
合計(繰上後) | 6 | 4 | 4 | 6 | 0 | 0 | 1 |
百万の位より大きい桁数(位)はこの問題では不要なため省略しています。
同じ桁数の数字を合計したものが繰上前と書かれた行の数字、その数字が2桁以上の場合は繰り上がるため繰上後の数字が一番下の行の数字となり、赤太字の446001が答えとなります。
この問題では分かりやすいように表の形式にしましたが、実際の入試の時は位をもっと簡潔に書いても良いと思います。
筆算を書く要領と同じなのですが、桁数(位)を間違えないように注意が必要です。
なるべく簡潔に、短時間でミスしないように工夫しましょう。
最後に
今までも灘中算数の問題を解説してきましたが、今回から分野別の問題集紹介は一旦終了しようと思います。
以下の参考書・問題集まとめ記事の充実や、個別分野ごとの問題集紹介記事も書いていく予定です。
当記事をご覧の受験生や保護者の方に、少しでもお役に立てれば幸いです。
質問等も(可能な限り)お答えしますので、ご意見・ご質問があれば連絡お願いします。