先日石川県で大きな地震が発生しました。
被災された方は非常に辛い体験だったでしょうし、現在も不安に感じておられることだろうと思います。
震災に関して思うことは沢山あります。
ただ、当ブログは受験ブログなので受験と被災に関して書いていこうと思います。
今回の地震は春先であったため、受験間際の生徒さんが居られなかったのは不幸中の幸いであったかもしれません。
ただ、例え来年の受験であったとしても、何らかの影響を免れない方も居ると思います。
実は私も中学生の頃、阪神淡路大震災を被災した被災者でした。
当時の自宅は半壊し、学校は数か月休校となり、一時的に遠方に避難を余儀なくされました。
そんな経験をしながら、灘校を受験し合格するに至りました。
そこには色々な方の支えや、幸運もあったと思います。
ただ、そんな私の経験でも今回の地震で被災した受験生の参考になるようなことが何かあるかもしれません。
非常に古い話なので思い出しながらとなりますが、被災後の受験に関して書いていこうと思います。
阪神大震災と受験
中学受験と志望校
当ブログは、次男の中学入試に関する記事を主に書いていますが、過去に灘中に不合格となった私自身の経験も書いてきました。
(詳しくは以下の記事をご覧ください)
中学受験で不合格となった私は、地元の公立中学に通いながら高校受験を目指すことにしました。
絶対に灘校! という訳ではありませんでしたが、やはり一度不合格となった灘校を目指して地元の塾に通っていました。
阪神淡路大震災
震災の前日、塾の課題を全て終わらせることができなかったため、早く起きて課題を終わらせようと6時前にアラームを合わせていました。
そして、あの震災の当日。
ベッドから吹っ飛ばされるのではないかと思う位強い揺れがあり、必死にベッドにしがみついていました。
不気味な地響きが聞こえており、大音量のアラームが鳴っていたはずなのですが全く気になりませんでした。
同居していた家族は幸いにも無事でしたが、家からなんとか出てみると外の景色は一変していました。
周囲の家は瓦礫の山となり、埋まっている人も大勢いました。
震災当日は大人に混じって救助活動をしました。
瓦礫に埋まっている人を助けようと瓦礫に潜っていた際に余震があった時は、自分も埋まってしまうかもしれないという命の危険を感じたのを覚えています。
近所の避難所に指定されていた小学校は、すでに避難してきた被災者でいっぱい。
小学校に避難するよりも、少し離れた震災被害の比較的少なかったところに暮らしていた家族のもとに避難する方が良いだろうと、着の身着のまま避難することになりました。
他にも避難しようとする人の列が国道にできて、現代ながら戦争映画のワンシーンを見ているような錯覚を感じました。
その家族のもとに身を寄せていたのは数週間程度でした。
身内とはいえ一家で長くお世話になるわけにもいかず、遠方となってしまいましたが賃貸住宅を探し、本格的に避難することになりました。
避難生活と勉強
被災した当日は勉強どころではありませんでした。
まずは最低限の身の回りの物を持って、なるべく安全に避難することが先決だったので。
地震後数日経ち、自宅に荷物を取りに帰るようになりました。
地震の影響で物が散乱してしまったものの、ほとんどの勉強道具は見つけることができたので少しづつ勉強道具も回収しました。
避難場所では個人の勉強部屋など確保できるはずもありませんでしたが、家族は私が勉強するためになるべく静かにしてくれたり協力してくれたと思います。
震災後、学校どころか塾も復旧の見込みが立たない状況でした。
そんな中でも塾が再開したときにやったことを忘れているなんてことが無いように、今までの学習内容をひたすら復習していました。
(新しい課題を出してくれる人も居なかったので……)
落ち着いて勉強できる状況ではありませんでしたが、逆に時間を区切って短い時間でこれだけのことをやろうと集中して勉強に臨むようになりました。
震災からの復旧と受験
1月に被災し、塾が再開したのは春頃でした。
瓦礫はほとんど撤去されたものの、建物がまばらとなった街は非常に寂しいものでした。
塾の建物も被災し、震災後移転を余儀なくされました。
学校の同級生には亡くなった方も居られたのですが、再開した塾には同級生が欠けることなく集まることができました。
そうして始まった塾ですが、当時私が感じていたのは焦りでした。
私の住んでいた地域は特に被害が大きく、正直震災後しばらくは勉強どころではありませんでした。
しかし、少し離れたところに住む人にはほとんど影響はありません。
私が勉強できなかった間も、普段通り勉強していた人も居るに違いありません。
ただ、極端に授業のペースが速くなることもなく、再開後もそれまでと変わらない授業でした。
物足りなく感じた……なんてことはありませんでした。
それまでと変わらないというのは、それまでの内容は復習・理解しているという前提だということです。
被災後、復習していたのは間違いではありませんでした。
やや遠方から塾に通うようになり、電車に乗る時間が増えました。
そうしてできた電車通学の時間は、塾の復習に充てるようになりました。
そうすることで、今までよりも勉強の効率が上がったくらいでした。
震災からある程度時間が経ち、模試を受けられるようになった頃にはむしろ震災前より成績が上がっていました。
復習を重点的にしたこと、勉強の時間が多く取れなかったため集中して勉強せざるを得なかったこと、焦りを感じていたこと……。
何が良かったのかは分かりません。
ただ、確実に成績は向上し、そのまま第一志望である灘に合格しました。
特筆すべきは、その年私が通っていた塾は灘の入学者数が過去最多となったことです。
そうやって追い詰められた環境だったのが功を奏したのかもしれません。
被災地の受験生へ
地震に限らず、自然災害や不幸な出来事など様々なことで悩む受験生も居られるだろうと思います。
追い詰められた環境でも諦めないこと。
新しい勉強ができない状況であれば思い切ってそれまでの復習に徹するなど、その時できるベストを尽くすこと。
そういった気持ちを持っていれば、震災などの極限状況からでも不利を覆す要因になり得ると思います。
どのような状況になろうと、決してあきらめず頑張ってください。
私のケースは偶々かもしれませんが、少しでも参考になることを願っています。
また、受験生に限らず被災した方が、一日も早く元の生活に戻れるよう、心から願っています。