(2023/2/17 追記しました)
当ブログでは次男の中学入試に関係する様々なことを発信してきました。
2023年に次男の中学入試が終了したことに伴い、今後は三男の勉強や私の母校灘の入試問題解説等を発信していこうと考えています。
(次男の中学入学後のことも書いていく予定です)
今回、今後記事にしていこうと考えている灘中の入試問題(算数)解説を書いています。
灘中の入試問題は良問が多く、受験を考えている子どもだけでなく保護者の方も取り組んでみると面白いと思います。
文末に、場合の数を解くうえで役に立つ問題集も紹介しているので参考にしてください。
また過去記事で2023年の入試問題を解説しているので、良ければそちらもご覧ください。
2022年 2日目大問2 難易度★★★☆☆
「場合の数」と「数の性質」の理解が必要な良問です。
標準的な難易度に分類されると思われます。
(1)
1000は8の倍数なので、1000の位以上の桁は全て8の倍数になっています。
例えば、7000=8×875、35000=8×4375
……というように、1000以上の桁は8×〇〇という形で表せます。
つまり、この問題では1000の位以上は(何を選んでも8の倍数になるため)考える必要がありません。
100の位以下の数字、8エ8が8の倍数になるものを考えます。
8エ8が8の倍数となるエは0または4のとき。
つまりエの選び方は2通りです。
残りのア、イ、ウの選び方は、何を選んでも問題ないため
5×5×5=125通り
よって答えは、
2×125=250通りとなります。
(2)
数の性質で頻出の「3の倍数の性質」を知っている必要があります。
これは3の倍数は各桁の数字の和も3の倍数となる、というものです。
例えば24は3の倍数ですが、2+4=6も3の倍数となっています。
桁が多くても同様に考えます。
123456は各桁の和が21となり3の倍数であるため、3の倍数と考えられます。
実際、123456=3×41152であり、3の倍数です。
この性質は中学入試算数で頻出なので知っておきましょう。
この問題では各桁の合計が3の倍数、つまり(ア+イ+ウ+エ+40)が3の倍数と考えられます。
アからエはいずれも0、1、2の数字なので、3の倍数となるのは
- ア+イ+ウ+エ=2 (合計42)
- ア+イ+ウ+エ=5 (合計45)
- ア+イ+ウ+エ=8 (合計48)
のどれかのパターンとなります。
(アからエはいずれも0、1、2の数字なので、ア+イ+ウ+エの最少は0、最大は8であるため)
1. ア+イ+ウ+エ=2 のパターン
4つの数字は(0、0、0、2)または(0、0、1、1)のどちらか。
(0、0、0、2)の選び方
(0、0、0、2)の選び方は、アからエのどの数字が2になるかの4通り。
(選ばれなかった残りの数字は必然的に0になる)
(0、0、1、1)の選び方
(0、0、1、1)の選び方は、アからエのうち2つ(1の数字になるもの)を選ぶ選び方。
(この場合も、選ばれなかった残りの数字は必然的に0になる)
1つ目の選び方は上と同様に4通り。
2つ目は残りの3通り。
ここで4×3=12通りとすると、1つ目に選んだものと2つ目に選んだものの並べ方を区別していることになります。
(例えばアとエの2つが1になると考えた場合、ア、エとエ、アを別のものと考えていることになる)
それらの並べ方は区別しないので、この場合の選び方は12÷2=6通り。
つまり、合計10通りとなります。
2. ア+イ+ウ+エ=5 のパターン
4つの数字は(0、1、2、2)または(1、1、1、2)のどちらか。
(0、1、2、2)の選び方
アからエのどれが0になるかの選び方は4通り。
同様にどれが1になるかは残りの3通り。
よって選び方は4×3=12通り。
(選ばれなかった2つは必然的に2となる)
(1、1、1、2)の選び方
アからエのどれが2になるかの選び方は4通り。
(選ばれなかった3つは必然的に1となる)
つまり、合計16通りとなります。
3. ア+イ+ウ+エ=8 のパターン
4つの数字は(2、2、2、2)の1通り。
よって、答えは1~3全ての合計で27通りとなります。
(2)別解
ア+イ+ウ+40はアからウで何を選んでも
- (3の倍数)
- (3の倍数+1)
- (3の倍数+2)
のいずれかになる。
ここでエは1の場合なら0、2の場合なら2、3の場合なら1であれば合計が3の倍数となる。
つまり、ア、イ、ウは何を選んでも良い(各3通り)。
エはア、イ、ウの合計により何を選ぶか決まっている(1通り)。
となるので、答えは
3×3×3×1=27通り
(3)
24の倍数とはつまり8の倍数、かつ3の倍数ということ。
8の倍数なので、(1)からエは、0または4と分かる。
エ=0 の場合
ア+イ+ウ+40が3の倍数になる。
つまりア+イ+ウ=2、5、8、11のいずれかとなる。
ア+イ+ウ=2 のパターン
ア+イ+ウ=2 となるのは(0、0、2)または(0、1、1)のどちらかになる。
どちらも選び方は3通り。
(ア、イ、ウのどれが2になるか、もしくはどれが0になるか)
よってこのときの選び方は3×2=6通り。
ア+イ+ウ=5 のパターン
ア+イ+ウ=5 となるのは(0、1、4)、(0、2、3)、(1、1、3)、(1、2、2)のどれかになる。
すべてが異なる場合((0、1、4)、(0、2、3))、選び方は3×2×1=6通り。
2つが同じものである場合((1、1、3)、(1、2、2))、選び方は3通り。
よってこのときの選び方は6×2+3×2=18通り。
ア+イ+ウ=8 のパターン
ア+イ+ウ=8 となるのは(0、4、4)、(1、3、4)、(2、2、4)、(2、3、3)のどれかになる。
ア+イ+ウ=5 の時と同様に考える。
すべてが異なる場合(1、3、4)、選び方は3×2×1=6通り。
2つが同じものである場合((0、4、4)、(2、2、4)、(2、3、3))、選び方は3通り。
よってこのときの選び方は6+3×3=15通り。
ア+イ+ウ=11 のパターン
ア+イ+ウ=11 となるのは(3、4、4)の場合のみ。
このときの選び方は3通り。
(2つが同じものである場合の選び方)
エ=4 の場合
ア+イ+ウ+44が3の倍数になる。
つまりア+イ+ウ=1、4、7、10のいずれかとなる。
ア+イ+ウ=1 のパターン
ア+イ+ウ=1 となるのは(0、0、1)の場合のみ。
このときの選び方は3通り。
ア+イ+ウ=4 のパターン
ア+イ+ウ=4 となるのは(0、0、4)、(0、1、3)、(0、2、2)、(1、1、2)のどれかになる。
今までと同様に考えて、選び方は3+6+3+3=15通り。
ア+イ+ウ=7 のパターン
ア+イ+ウ=7 となるのは(0、3、4)、(1、2、4)、(1、3、3)、(2、2、3)のどれかになる。
今までと同様に考えて、選び方は6+6+3+3=18通り。
ア+イ+ウ=10 のパターン
ア+イ+ウ=10 となるのは(2、4、4)、(3、3、4)のどちらかになる。
今までと同様に考えて、選び方は3+3=6通り。
すべてを合計すると84通り。
場合の数 問題集紹介
(追記)
4~5年生向け
分野別集中レッスン算数 場合の数 [文英堂]
場合の数の基本は樹形図など、漏れなく全ての場合を書きだすテクニックだと思います。
そういった、本当に大事だけど学びにくい基本を押さえているのがこの分野別集中テクニック 場合の数です。
短期間で終わるようになっているので場合の数を学び始める4年生にも、苦手を復習したい5年生にもおすすめです。
我が家は6年生になってやっていました。
速ワザ算数 規則性・場合の数 [文英堂]
自分で完成させるノートのような問題集で、どちらかというと参考書に近いかもしれません。
分野別集中テクニックよりやや難しい問題が多い印象です。
解説が分かりやすいため、自宅学習向きです。
塾に通っている人でも、場合の数に苦手意識があれば良いと思います。
5~6年生向け
中学受験を成功させる熊野孝哉の「場合の数」入試で差がつく51題 +17題 [エール出版社]
この本は難関校を目指す生徒のうち、次のような場合におすすめです。
5年生で一通りの学習が終わり、場合の数の分野の発展問題に取り掛かろうと考えている。
6年生になって入試問題に取り組む前後で、場合の数に苦手意識を持っており復習したい。
程よく難しく、解説も分かりやすいため、自宅学習や塾の勉強に追加するのにおすすめです。
場合の数を含む全範囲の問題集
算数プラスワン問題集 [東京出版]
難関校を目指す子どもが、5年生後半頃、一通りの勉強が終わりさらに発展的な内容に取り掛かる前におすすめなのがこの算数プラスワン問題集です。
また、中堅校志望の6年生が一通りの復習をする目的で使用するのもおすすめです。
入試に必要な「何を使って解くのかの見極め」をする力を養成することを目標としており、自宅学習メインの子は当然として塾に通われている子にもおすすめです。
算数 合格へのチャレンジ演習 [東京出版]
難関校受験生におすすめの月刊誌「中学への算数」の中で、「発展演習」という難問として取り上げられた問題が厳選されています。
難関校を受験しようと考えている6年生が、高いレベルで一通り復習するにはおすすめの問題集です。
最後に
いかがだったでしょうか。
条件を丁寧に整理すれば難しい問題ではないと思います。
最後の(3)は(2)の別解と同様にア+イ+エ+40の合計が3で割って余り0の場合、1の場合、2の場合と分けて、それぞれの場合でウが何になるか考える方法もあります。
ただ、それらの別解のように綺麗な解き方が思い浮かばなくても、一つ一つ条件を書き出せば解けます。
その場合でも、慣れればそれほど時間はかからず解くことができます。
焦らず問題演習を重ねると良いと思います。
問題集の紹介も上に追記しているので、そちらも参考にしてください。
今後、今回のような灘中算数の問題を適宜ピックアップして解説していこうと思います。
今後、灘中を受験する人でなくても参考になるような問題を選んでいくつもりなので、また見てみてください。
保護者の方も子どもがどんな問題を解いているのか、解かなければならないのか参考にして頂けたらと思います。