灘中の算数入試問題を不定期に解説しています。
(最新の2023年過去問は以下の過去記事を参照ください)
今回は2020年1日目の3番、比に関する問題です。
比較的易しい難易度の問題なので、計算ミスしないことがポイントだと思います。
灘中入試算数1日目は60分で12、3問を解く必要があり時間との勝負です。
灘中受験生は、この問題のように易しい問題はミスなく短時間で解きたいところです。
灘中受験を考えていない受験生でも、比較的易しい難易度の問題なので解いてみてはいかがでしょうか。
2020年 1日目大問3 難易度★★☆☆☆
解答
ABの距離を〇mとします。
太郎君、次郎君がB地点に向かう場合から、
(太郎君の速さ):(次郎君の速さ)=〇:84
と分かります。
また、太郎君、次郎君がD地点に向かう場合から、
(太郎君の速さ):(次郎君の速さ)=(〇+84+1260):1260
と分かります。
太郎君、次郎君の速度は一定なので、
〇:84=(〇+84+1260):1260
ここで、比の内項の積と外項の積が等しいので、
84×(〇+84+1260)=〇×1260
84×〇+84×1344=〇×1260 (←84×1344の計算は後回しでOK)
84×1344=〇×1176 (←右辺は〇×(1260-84))
〇=96 (←両辺を1176で割る)
よって、答えは96
(興味がある方は、比の内項と外項の積に関する過去記事も参照ください)
別解
太郎君、次郎君とも歩く速さは一定であり、次郎君が歩いた距離に注目して解くとより簡単に解くことができます。
次郎君がBからCまでの84m歩く間に、太郎君はAからBまで歩きます。
また、次郎君がCからDまでの1260m歩く間に、太郎君はAからDまで歩きます。
つまり、(ABの距離):(ADの距離)=84:1260=1:15
と分かります。
1:15の差の14にあたる距離はBからDの距離、つまりBCとCDの距離の和なので
84+1260=1344m
よってABの距離(比の1にあたる距離)は、
1344÷14=96
考え方
この問題は、2つの比を比較して解く問題です。
どちらの解き方でもそれほど時間はかかりませんが、別解の解き方の方がきれいだと思います。
(一つ目の解き方は少し方程式っぽいですしね……)
別解の考え方のポイントは、2つの比を比較する場合の式の立て方です。
一つ目の解き方では、太郎君:次郎君という比較から
〇:84=(〇+84+1260):1260
という式を立てました。
これも間違いではありませんが、次郎君(太郎君)が歩いた時間の比という形にすることで、
(ABの距離):(ADの距離)=84:1260
という式を立てられると思います。
1つ目の解答の方がより力技ですが、良い解き方が思い浮かばなくても確実に解けることが重要だと思います。
速さと比の問題 問題集の紹介
速さの問題も割合(比)の問題も中学受験で非常に重要なテーマの一つです。
この問題は、速さというより完全に比の問題ですが、入試問題としては比較的容易な内容だと思われます。
この問題に詰まってしまった人は、まずは標準的な問題をしっかり解けるように対策しましょう。
この問題はできたという人でも、さらに色々なパターンの問題を解くことが難問を解くコツです。
今後灘などの難関校受験を考える方はたくさんのパターンの問題を解いてみてください。
速さや比に関係するおすすめの問題集を挙げてみます。
(何度も紹介している問題集ばかりですが……)
参考にしていただければ幸いです。
きょうこ先生のはじめまして受験算数 数・割合と比・速さ編 [朝日学生新聞社]
朝日小学生新聞で連載され、好評だったシリーズの書籍化です。
別冊の「図形・場合の数編」とともに勉強を始める初期の人や、苦手範囲を理解したいという人に分かりやすく解説しているため非常におすすめです。
この本を使用することで入試基礎レベルまでは理解することができると思います。
また、著者のYouTube動画も秀逸なため、併せて視聴するとより理解が深まると思います。
中学入試分野別集中レッスン 算数 速さ[シグマベスト]
速さの問題の基礎の基礎から入試基礎レベルの問題までを勉強するのに最適な一冊です。
1日4ページ、2週間でできるようになっているため(最後の入試問題は6ページ)、速さの範囲が苦手な5、6年生の復習にも適しています。
この問題集の良いところは、1-3日目に勉強した内容を4日目に復習というように無理なく復習もできるため、学習した内容が定着しやすいところだと思います。
算数プラスワン問題集 [東京出版]
難関校を目指す子どもが、5年生後半頃、一通りの勉強が終わりさらに発展的な内容に取り掛かる前におすすめなのがこの算数プラスワン問題集です。
また、中堅校志望の6年生が一通りの復習をする目的で使用するのもおすすめ。
様々な領域の問題が収載されています。
入試に必要な「何を使って解くのかの見極め」をする力を養成することを目標としており、自宅学習メインの子は当然として塾に通われている子にもおすすめです。
算数 合格へのチャレンジ演習 [東京出版]
難関校受験生におすすめしたいものの一つに、月刊誌「中学への算数」があります。
それ自体の定期購読もおすすめなのですが、この合格へのチャレンジ演習は「中学への算数」の中でも難しい「発展演習」で取り上げられた問題が厳選されています。
難関校受験生にはチャレンジしてほしい問題集です。